入れ歯の高齢者、なぜ減った?

「最近は入れ歯の高齢者が減っているそうね。うちの80歳のおじいちゃんも入れ歯をしてないわ」。事務所に立ち寄った近所の主婦の話に、探偵の深津明日香が反応した。「高齢化が進んでいるのに、どうしてでしょう」と早速調査を始めた。

予防歯科・健診 意識高まる

「入れ歯のデータってあるのかしら」。探してみると、厚生労働省が6年ごとに調査する「歯科疾患実態調査」にデータがあった。2011年調査では65~69歳で総入れ歯の人の割合は8.9%と、05年調査(17.7%)から低下し、1割を下回った。75~79歳、80~84歳でもそれぞれ3割、5割を下回っていた。

別の「社会医療診療行為別調査」も確かめた。主に75歳以上の歯科診療に占める入れ歯の割合(保険点数比)は12年に20.8%。08年に初めて30%を下回り、低下が続く。

厚労省を訪ねると、歯科保健課の小畑充彦さん(40)が、「入れ歯の減少は予防歯科の普及が大きな要因です」と説明を始めた。国などは1989年、80歳で20本以上の歯を持つ人を増やす「8020運動」を唱えた。「自分の歯で食べて味を楽しむ」という生活の質の向上が狙いだ。「むし歯予防に効くフッ素を塗ることや歯周病予防の口内清掃のほか、歯科健診を推進しています」と小畑さん。

過去1年以内に歯科健診を受けた人の割合は12年に47.8%まで上昇し、60歳以上では50%を超えた。健診時はフッ素塗布なども行う。8020運動の達成者の割合は11年に40.2%に上昇している。

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