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タミフルに頼り過ぎない 抗インフル薬、正しく服用

2014/6/14 日本経済新聞 夕刊

インフルエンザの治療薬の代名詞ともいえる「タミフル」。毎冬のインフルエンザシーズンでは、1日でも早く症状を抑えるために多くの人が服用する。特に日本は世界最大の消費国だ。だがタミフルが効きにくくなった耐性ウイルスが国内でも増える傾向にある。4月には国際研究グループが薬の効果に疑問を投げかける報告書をまとめるなど、タミフルを巡る状況も変わりつつある。
インフルエンザウイルスA型の電子顕微鏡写真(国立感染症研提供)

「薬を処方してもらおう」。インフルエンザの流行期の冬、体調が悪くなった都内在住の30代男性は近所のクリニックを訪れた。まずは綿棒で鼻の奥をぬぐい取り、検査キットでウイルスが感染した痕跡を捜す。その場で感染が判明し、抗インフルエンザ薬のタミフルが処方された。

セ氏38度以上の高熱や頭痛、関節痛に筋肉痛と1週間ほどつらい症状に見舞われるインフルエンザ。毎年流行する季節性ウイルスは主に3種類ある。A型がH1N1型とH3N2型(A香港型)、それにB型だ。H1N1型は従来はAソ連型だったが、2009年に新型として世界で流行した豚由来タイプに取って代わられたと考えられている。タミフルはどの型にも処方される。

■異なる効果の見解

タミフルは体内に侵入したウイルスの増殖を抑える作用がある。症状が現れてから48時間以内に服用することが推奨され、迅速検査と組み合わせて日本では年間約800万人が服用する。国内では01年に発売されたが、05年ごろは世界のタミフルの7~8割、最近でも5割前後を日本が消費しているといわれる。しかし、今のところ科学的にはっきりしている効果は「4~5日の発熱期間を1日ほど短縮する」ことだけだ。

「日本では1日でも早く仕事に復帰するために多くの人が服用する風潮がある」と川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は話す。一方、欧米ではもともと健康だった人に対し、自宅で療養して体調の回復を待つように勧めるのが一般的という。薬を飲んで1日も早く楽になれると見るか、回復までたった1日の差ととらえるかは国によって違う。

タミフルは日常の治療で使うだけでなく、鳥インフルエンザが人から人に容易にうつるタイプに変異し流行する新型インフルエンザ対策として各国が備蓄している。このためタミフルの実力を見極めようとする研究が続いている。

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