夏は「やけど虫」に注意 アリ似、触ると水ぶくれ素手は使わないで

肌の露出が増える夏は虫による被害も増える。蚊や蜂などに刺されて不快な思いをする人は多いが、アリに似ている通称「やけど虫」にも注意したい。この虫の体液に触れると、やけどのときのように皮膚に水ぶくれなどができて痛みなどが生じる。体についても潰さないで、そっと取り除いたり吹き飛ばしたりするようにしたい。
体液に毒を持つやけど虫(鹿児島大学の津田教授提供)

神奈川県に住む40代女性の趣味はジョギング。草花が生い茂る河川敷や森林などを週2回ほど走る。昨年6月、小さな虫が腕にくっついているのに気づき、手で払いのけた。その際、虫から出た体液がついてしまった。

帰宅してしばらくすると、腕にひりひりとした痛みが走るとともに、線状に赤い発疹や水ぶくれができていた。そこで念のため、皮膚科を訪れたところ、「やけど虫の体液に触れたことによる線状皮膚炎」と診断された。薬を処方された女性は5日ほどで治ったが、「何の前触れもなく痛くなったので気持ち悪かった」と振り返る。

■アリに似た見た目

やけど虫の体液が原因で起きた線状皮膚炎(よしき皮膚科・形成外科提供)

やけど虫の正式名称は「アオバアリガタハネカクシ」。体長6~7ミリメートルで、細く小さい。形はアリに似ており、頭や尾の先端部、胸の一部などが黒、他はオレンジ色をしている。川岸や池、田畑、草むらなどの湿った地表にすむ。北海道から沖縄まで全国各地に分布している。

この虫は、梅雨の時期から夏にかけて最も増える。明かりを求めて飛ぶこともあり、春~秋は街灯などの光に集まる。鹿児島大学農学部の津田勝男教授は「農業では、害虫を駆除する益虫としての側面もある」と指摘する。

やけどをしたときのように発疹や水ぶくれが起こるのは、この虫の体液に「ペデリン」という有毒物質が含まれているためだ。成虫だけでなく卵、幼虫、さなぎもこの物質を体内に持っている。

津田教授によると、やけど虫は攻撃的ではなく、人の皮膚にくっついてもかむことはない。むしろ臆病で逃げようとするという。ただ、潰したり、むやみやたらに払い落としたりすると、体液が糸のように付着する。

■水ぶくれや発疹

そのままにしておくと約10時間後に、線状の赤い発疹ができ、水ぶくれになるという。よしき皮膚科・形成外科(福岡県福津市)の吉木竜太郎院長は「ペデリンに触れると痛みやかゆみが生じる。目に入ると激しい痛みを伴い、結膜炎などを引き起こす」と注意を呼び掛ける。

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