絵はどこで買えばいい? 自宅でアート入門
飾る場所や高さは
アートフェアなら気軽
5月下旬の週末、東京都港区の増上寺で開催された「タグボート・アートフェス」。境内にある建物内には約70人の現代アート作家の絵やオブジェが展示され、来場者が作家と直接話をしたりしながら気に入った作品を探していた。
来場した都内に住むダンサーの女性(27)は「自分の部屋にはポストカードを飾っているが、絵もいいなと思った。お気に入りが見つかれば1万円くらい出していいかも」と話す。
同フェスは今回が6回目。多くの作品を一堂に集めて展示・即売するこうしたアートフェアの開催数は年々増える傾向という。入場料が必要なケースが多いが、気軽に多くの作家の作品を一度に見て回れるため、自宅で絵を楽しみたいアート初心者にも最適だ。
アートフェアが増えている背景にはインターネットでアート作品を販売するオンラインギャラリー人気もある。実際に部屋に飾る絵だから実物をみておきたいという思いが起きるのは当然。冒頭のフェアを開催したタグボート(東京都中央区)も実はアートのネット通販大手。徳光健治社長は「作家と話したり実物にもふれることでアート選びの楽しさが増す」と話す。
実物を見てじっくり選びたいならギャラリーや画廊に足を運んでみるのもいい。初心者にはハードルが高そうだが、絵画選びをサポートしてくれる心強い水先案内人だ。スタッフの繁閑にもよるが、初歩的な質問にも丁寧に応じてくれる。
東京都新宿区のミヅマアートギャラリーは、会田誠などの有名作家を取り扱うギャラリーだが、「実は1万円ほどの作品から幅広く紹介できます」という。最近の個展で販売した作品は一点の価格が数万円。個展では作家が会場にいることも多いので、直接話をすれば作品をよく理解できて、愛着もわく。
ミヅマアートギャラリーの三潴末雄さんは「アートを買ったらとにかく飾って。教養から入るのではなく、その作品が好きか嫌いかという感情を大切にしてほしい」とアドバイスする。
若手作家の作品を買うことは、創作活動を応援する楽しさもある。まずは先入観にとらわれずに中をのぞいてみれば、意外に手ごろに長くつきあえる作品や作家との出会いがあるかもしれない。
家具の色と調和とろう
絵を部屋に飾るメリットについて、インテリアコーディネーターでシックインテリアプランニング(横浜市)主宰の荒井詩万さんは、「最近は白い壁が基調の家が多い。華やかさを出したり、部屋を引き締めるために絵を飾る効果は大きい」と説明する。
飾る場所は玄関や部屋に入ってすぐに目に入る場所のほか、いすやソファに座って見やすい場所もいい。「お客さんなどとの話の糸口になる。同じ絵をずっと飾り続けるより季節によって替えると家族の会話も増えます」(荒井さん)
ポイントになるのが絵とほかの家具との色のバランスだ。例えば飾った絵に紫色が入っていれば、クッションやソファのカバーなどの家具の一部に紫を合わせると統一感が出る。絵だけでなく、フレームの色や素材にも気を配りたい。
ひとつの壁に複数の絵を飾っても構わない。ただ、ある程度のまとまりを意識するように。ある壁面に家具や小物などがたくさんあれば、小さめのシンプルな絵を飾るなどバランスが大事だ。
(高田哲生)
[日経プラスワン2014年6月7日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。