食事・運動… 苦しい痛風、対策は生活習慣改善から遺伝子タイプで発症リスクに差

研究チームによると、尿酸値が7ミリグラム以下の健常な男性約1900人では、正常タイプと変異タイプの割合はほぼ半々だった。松尾講師は「健常な人でも尿酸値が高まるような状態になれば、2人に1人は痛風になりやすい要因を持っている」と指摘する。

「江戸時代以前、日本の痛風患者はゼロに近かったといわれている」と松尾講師は解説する。遺伝子タイプの割合も現代とほぼ同じだと考えられるが、伝統的な食生活などの影響で患者は出なかった。「食生活や肥満などに気をつければ、発症リスクの高い遺伝子変異を持つ人でも痛風の発症を避けられる可能性が高い」(松尾講師)といえそうだ。

■水分摂取も大切

実は、松尾講師自身がかつては肥満などを表す基準である体格指数(BMI)が30と非常に太っており、尿酸値も9ミリグラムと高かった。いつ痛風の発作に見舞われてもおかしくない状態だったが、減量を試みてBMIを標準とされる22まで下げた。食事の量を抑え、適度な運動も心掛けた結果だ。尿酸値は6ミリグラム台と正常範囲になった。

痛風では飲酒がよくないと昔からいわれる。尿酸は「プリン体」という物質から作られる。アルコールが体内で分解される際、プリン体の分解も進んでしまう。ビールなら1日に中瓶1本に抑えるなど適量を守るのが大切だ。週2回は酒を飲まない日を設けることを専門家は勧めている。

兵庫医科大学の森脇優司教授は「むしろ酒のつまみに気をつけてほしい」と注意を促す。アルコール摂取で食欲が増し、プリン体が多く含まれる食品をつい口にしてしまうからだ。代表的なものは、鶏や牛などのレバー、マイワシやマアジなどの干物、カツオなどだ。

十分な水分摂取も大切だ。尿の量が増え、尿酸の排出量も増えるからだ。水や茶で水分を取るのがよいという。

尿酸値を高める生活習慣は「高血圧や糖尿病などの発症リスクも上げる」(森脇教授)。生活習慣を改善すれば、こうした病気を避けられる可能性も高まると肝に銘じておきたい。

(新井重徳)

[日本経済新聞夕刊2014年5月30日付]

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