先生、ワラジムシが取っ組みあいのケンカをしています! 小林朋道著楽しく学べる動物行動学

2014/5/30付
(築地書館・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

定番シリーズの8冊目。ユーモア溢(あふ)れる語り口調はますます冴(さ)え渡り、この本をバスや電車の中で読むのは危険!

 でも、笑ってばかりはいられない。特に絶滅危惧種の「ナガレホトケドジョウ」の章は衝撃的だ。水量の少ない、流れの速い谷川を好む魚だが、ときに里山近くの水場に生息することもある。しかし谷川は昨今の開発で自然破壊が進み、里山は人の手が入らないことで環境が悪化する。

「過去、数百年(見方によっては数千年)の間、そういった里地にできた環境のなかで、氷河期に適応した生物をはじめとして、多くの野生生物が生き残ってきた(中略)[しかし]人が手を引き、草に覆われはじめた“小宇宙”水場では、水底にたまる枯れ葉が増えて底面を押し上げ、光が届かなくなった水中のミズゴケは枯れ、このまま事態が進めば、一〇〇匹以上はいると思われる“小宇宙”水場のナガレホトケドジョウは死に絶えてしまうだろう」

 人の手が入っても、手を引いても、他の生きものの生息地を壊してしまう……。

 中学生から大人まで、楽しく読めて、ためになる、動物行動学入門の良書である。

★★★★★

(サイエンス作家 竹内薫)

[日本経済新聞夕刊2014年5月28日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

先生、ワラジムシが取っ組みあいのケンカをしています!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学

著者:小林 朋道
出版:築地書館
価格:1,728円(税込み)