患者サービス向上へ 病院再編、成功のカギ探る

膨らむ医療費の抑制や人口減少などを背景に、病院再編の動きが広がっている。経営不振に陥った公立病院の譲渡や統合が各地で相次ぐ。単なる“数合わせ”に終わらず、患者にとっての医療サービス向上につなげることができるか――。病院再編の成功の鍵を探ろうと、現場を取材した。

「大型連休明けに外来患者が1日100人を超えた」。5月中旬、埼玉県志木市のTMG宗岡中央病院。解体に向けた作業が始まった築35年の病棟の中で、山口剛主任は安堵の色を顔に浮かべた。

同病院は4月、旧志木市立市民病院を譲り受け民間の医療機関として新たなスタートを切った。診療科目は内科、外科、整形外科、小児科の4科。新病棟が完成する来年夏までは外来のみだが、市立病院時代は平日午前だけだった診療時間を平日午後と土曜日午前に拡大。患者の女性(84)は「昼に急に具合が悪くなったが、午後に診てもらえた。今後も安心」と話す。

旧市立病院は医師不足などで経営が悪化。市は2010年度以降、総額20億円以上を投じたが、結局民間への移譲を決定。昨年7月、医療法人社団武蔵野会(埼玉県新座市)が譲り受けることが決まった。

武蔵野会は、首都圏を中心に26の病院などを運営する戸田中央医科グループ(中村隆俊会長)の一角。グループ全体の職員数は約1万2千人に上り、武蔵野会の中村毅理事長は「スケールメリットを生かす」と意気込む。

ベッド数は旧市立病院と同じ(100床)だが、市民から要望があった二次救急を継続し、新たに人工透析も行う。中村理事長は「24時間365日の医療体制に向けて人材の育成と確保を進めたい」と話す。

民間から公立へ

経営統合を生かし集中治療が必要な新生児の受け入れ体制を整備(三重県桑名市の桑名東医療センター)

三重県桑名市の桑名東医療センターは民間の「山本総合病院」が公立化した。05年桑名市から赤字続きの市立病院と統合を求められ、12年に経営母体の地方独立行政法人に加わった。新たに建てる400床の病院に現行施設を集約する前提で、診療体制の拡充が進む。

「こちらに搬送をお願いします」。5月の平日の昼、同センター周産期科の佐々木禎仁医師は電話を切るや、救急車で運ばれてくる新生児を出迎えるために駆けだした。

周産期科は集中治療が必要な産後間もない赤ちゃんの受け皿として4月に開設。約1カ月で4人の低体重児を受け入れた。これまでは隣接する四日市市や愛知県内に搬送していた。妊娠中の女性からも好評だ。

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