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ライフコラム
エコノ探偵団

2014/5/21

エコノ探偵団

国任せ 乏しい当事者意識

クリック募金とは、難病支援など支援のメニューを紹介するウェブサイトの決まった場所を個人がクリックすると、メニュー別のスポンサー企業がクリック回数に応じて支援先に寄付する仕組み。震災後のピーク時にはスポンサー1社平均で毎月約50万クリックに達したが、現在は約25万。個人の負担はゼロのままだが、寄付への関心が薄れたために利用者が急減した。

「震災からまだ3年余りなのに」と明日香が驚くと、「支援活動の中心は国や自治体と考える人が多いためかもしれません。国や自治体への信頼が厚い半面、当事者意識が薄い面があるのが日本人の特徴です」と清水さん。自分自身も震災の復興活動に協力し、個人の限界を感じたという。

「日本人の意識の問題だとすると簡単には寄付は増えそうもないわ」と表情を曇らせる明日香。助け舟を求め、統計データの出所である日本ファンドレイジング協会の門をたたいた。事務局長の徳永洋子さんは「大震災後に初めて寄付をしたものの、どこに使われたかよくわからず、達成感を得られなかった人が多いのです」と説明した。その点では、寄付を受ける側の努力不足も原因とみる徳永さんは、「寄付金の使い道を明確にする仕組みを作れば、日本人の間にも寄付はもっと根付くはずです」と強調した。

「その考えに賛成です」。寄付を推進する公益財団法人、パブリックリソース財団専務理事の岸本幸子さんも話に加わった。同財団はオンラインで寄付できるサイト「ギブワン」を運営し、寄付先として約150のNPOのプロジェクトを紹介している。「大震災後に寄付の効果などを考える人が増え、日本人の『寄付リテラシー(能力)』は向上しています。紹介するNPOを選ぶ基準は信頼感と持続可能性など。明確な意志を持って寄付する人が、手応えを感じるようにしたいのです」

中間報告する明日香に「日本の寄付税制にも問題があると聞いたことがあるぞ」と所長。そこで、寄付税制などを研究する東京大学教授の増井良啓さん(49)に尋ねると「実は、寄付金の控除の上限が上がり、控除が受けられる寄付先の対象が広がるなど、寄付税制は他国に見劣りしなくなりました。個人の寄付を妨げる大きな要因ではないと思います」と意外な答え。

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