プレゼントにも 折り紙で実用小物・雑貨を作るには
メガネ入れの折り方を解説
のりやハサミで仕上げ
4月中旬、埼玉県のある公民館で開かれた折り紙教室。30人弱の女性が真剣な表情で折って完成したのは折り鶴でも紙飛行機でもなく、しゃれたメガネ入れ。参加した伊藤雅子さんは「折り紙全体に関心はあったが、特に実用品は使う時に愛着がわくし、贈り物にも喜ばれる」と語った。
教室の講師で、実用的折り紙をまとめた「毎日を彩る実用折り紙雑貨」(学研パブリッシング)著者の1人、金杉登喜子さんは「最近、『折り紙で実用品を』という要望が特に若い女性から増えている」と話す。
パンやサラダを入れるバスケットや小型のゴミ箱、ブローチなど様々な実用折り紙が人気を集めている。一見、通常の折り紙より難しそうだが、作る時のコツは意外にシンプルだ。
まずは紙選び。専用の折り紙もいいが、「色や柄が気に入った包装紙を使う手もある」(金杉さん)。薄い包装紙は裏側に別の紙を貼って補強すればいい。折り方も特別な技術は必要ない。折り方にこだわるより、のりやハサミも適時使うなど柔軟な考え方で仕上げた方が、完成度はむしろ高まる場合も多い。
作り方に加え、使い方でも柔らかい発想は大切だ。
JR御茶ノ水駅の近くにある「おりがみ会館」(東京都文京区)の小林一夫館長も「子ども用の折り紙の本も視点を変えて読むと、発見があるのでは」と語る。例えば「犬」など動物折り紙ははし置きに、「チューリップ」など花の折り紙はエッグスタンドにと、少し工夫すると様々な用途が見えてくる。
小林さんは「みんなができてこそ折り紙。折る技術を競う必要はない」と、まずは気軽に挑戦することを勧める。
源流学び応用
実用的な折り紙に関心をもったなら、その源流「折形(おりがた)」も学んではどうだろう。室町時代の武家が贈り物を和紙で包む時の礼法が折形だが、包んだ中身を示す造形の面白さが江戸時代に庶民へ伝わり、折り紙遊びとなった。
折り紙と違い、折り方には厳しいルールがあるが、古典から折形を研究している山根折形礼法教室の山根一城主宰によれば「最近、学ぶ人は増えている」。美しい造形に加え、吉凶によって左右天地の折る順を変えるなど現代まで通じる慶弔マナーが身に付くことも魅力だ。
山根さんは「源流の折形を学ぶと現代で実用する折り紙にも色々と応用が利くはず」と話す。古来の礼法まで取り入れた折り紙なら、家族や友人との会話を盛り上げる小道具にもなりそうだ。
(堀大介)
[日経プラスワン2014年5月3日付]
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