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コレステロール 「正常範囲拡大」は誤解 健康の基準が変わる?~上~

2014/5/3 日本経済新聞 夕刊

 血圧やコレステロールの値など健康かどうかを判断する材料となる値の新基準が、4月に専門の学会から相次いで示された。このうち日本人間ドック学会がまとめた報告は、健康と判断される範囲が従来より広がったと話題になったが、実際はそうともいえないようだ。学会ごとに値が異なると、患者はどちらを選べばよいのか迷ってしまう。基準値とは何なのか。それを知ることから始めよう。
日本人間ドック学会は受診者のデータをもとに健康な人の範囲を調べた(日本人間ドック学会提供)

 「新しい基準だと薬は飲まなくても大丈夫ですよね」。高コレステロール血症や高血圧で治療中の患者が、主治医に投げかける。これに対し、「いいえ、基準は変わっていません。これまで通り飲んでください」と医師は説明に追われる。こんな光景があちこちで起きていることだろう。

■疾患予防姿勢欠く

 この患者が話題にしているのは、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が発表した「新たな健診の基本検査の基準範囲」だ。2011年に人間ドックを受診した約150万人のうち、持病がなく薬も服用していない健康な状態にある約1万人のデータをもとにまとめた。

 例えば、悪玉とされるLDLコレステロールでは、男性(30~80歳)で1デシリットルあたり72~178ミリグラムなら健康な人となる。女性は年齢で異なるが、45~64歳なら73~183ミリグラムが健康な人の範囲だ。現在は人間ドックの判定基準が男女とも60~119ミリグラムなので大幅に広がる。

 血圧や男性の中性脂肪、肝臓の指標となるγ―GTPなども大幅に広がり、「健康な人」が増える方向だ。健康診断で異常値が多いと毎年指摘されるサラリーマンらにとっては朗報と受け止められた。

 これに対し、日本動脈硬化学会のガイドラインでは、140ミリグラム以上は高LDLコレステロール血症にあたる。帝京大学臨床研究センター長を務める寺本民生教授は「LDLコレステロールが180ミリグラムを超えると他に高血圧などの危険因子が無くても危険。心筋梗塞のリスクは普通の人の3~4倍だ」と話す。

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