テルマエ・ロマエ2
湯ざめしない温かさ
大ヒットした前作から2年ぶりの続篇。期待にこたえ、今回もたのしませてくれる。
2世紀のローマ帝国から現代の日本へ、風呂あるいは水をつたって時空をスリップするテルマエ(浴場)設計技師ルシウス(阿部寛)。ローマでも日本でも、前作からつづく時間が流れている。
浴場文化の普及と改善によって帝国内に平和志向をみちびこうとするハドリアヌス帝(市村正親)と、それに敵対する元老院の策謀が、ローマにおけるドラマの軸。一方、日本はひたすら平和。主人公ルシウスは、スリップして日本にくるたび、温泉街の構想など先進的入浴文化をパクりまくって、皇帝の要請にこたえる。
今回はブルガリアの撮影所に、コロッセオ(闘技場)を建設したというが、そうした壮大なローマ史劇ごっこのたのしさと、ワビサビでもクール・ジャパンでもない卑近な日本文化のおもしろさを笑って再発見するたのしみが、二者を強引に組み合わせたことによって発現している。
まんが的発想(原作はヤマザキマリの人気まんが)が功を奏しているのだ。
今回は、ローマのグラディエーターとの対比で、相撲がフィーチャーされ、本物の力士が多数、入浴している(相撲もとる)。一方、ブルガリアつながりで琴欧洲(撮影時は現役大関)、そして曙が、グラディエーター役で出演。"アケボニウス"は、なかなか見せる。
意外なキャストのたのしみは多く、松島トモ子の、彼女だけにしかできないギャグには、思わず笑った。
ヒロイン、上戸彩の入浴シーンも、おたのしみのひとつ。期待以上の露出度のサービス・カットがある。最後の最後、ルシウスとの入浴は、すばらしい幸福感で見る者のこころをあたためる。湯ざめせずに、うちまで帰れます。
監督は、前作と同じ武内英樹。1時間53分。
★★★
(映画評論家 宇田川 幸洋)
[日本経済新聞夕刊2014年4月25日付]
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
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