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エコノ探偵団

観光列車なぜ増える? 大人も「モノより体験」

2014/4/23 日本経済新聞 朝刊

「ゴールデンウイークに豪華な観光列車に乗ることにしたんじゃ」。神田のご隠居、古石鉄之介が旅行案内を手に探偵事務所を訪れた。「最近、観光列車が全国に増えていますね。なぜかしら」。興味を持った探偵、深津明日香が早速調査に出た。

■「時間楽しむ旅」大人つかむ

まず訪ねたのは東日本旅客鉄道(JR東日本)。東北の釜石線で4月、蒸気機関車の観光列車「SL銀河」を走らせ始めた。内装はレトロで落ち着いた雰囲気。宮沢賢治の水彩画などを展示し、プラネタリウムも上映する。「大人向けという印象ですね」と明日香が言うと、営業部輸送戦略グループの新井貴之課長(43)はうなずいた。「予約客の9割以上が大人です」

同社は続々と観光列車を運行している。5月2日から新潟県で、車内で日本酒の利き酒ができる「コシノシュクラ」を運行。7月には山形新幹線で、足湯を楽しめる「とれいゆ」を運行予定。どれも「デザインや食の専門家と連携し、大人が楽しめるよう工夫した」と、新井さんはいう。

各地で大人が楽しめる観光列車が相次いでいる。「私も乗ってみよう」。明日香は、九州に飛んだ。

流れるジャズを聴き、ステンドグラスで飾られた木製のバーカウンターにもたれる……ここは九州旅客鉄道(JR九州)の特急「A列車で行こう」の車中。ハイボールを注文した女性客(25)が「熊本駅から乗車時間は約40分。もっと長く乗っていたいわ。東京から来た目的は、A列車だもの」と、話しかけてきた。

「乗るだけで満足できる鉄道の旅がある」とメモしつつ、明日香は特急を降りた。続いて鉄道ジャーナリストの中嶋茂夫さん(47)が降りてきて「出発地に戻ってしまう観光列車が人気を集めていますよ」とヒントを出した。

「何ですか?」と尋ねると、中嶋さんの目が輝いた。「昨年秋に登場した、JR九州の『ななつ星in九州』。最終目的地は出発地と同じ博多なんですよ」。3泊4日で九州を1周。1泊2日で九州の北半分を回るコースもある。

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