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片頬にゆがみなら…顔面神経まひ 放置で後遺症も 早期治療がカギ

2014/4/12 日本経済新聞 夕刊

ある日突然、片方の頬が腫れぼったくなった。水を飲もうとしたら口からこぼれてしまった。こんな症状があれば、顔面神経にまひが起きている可能性がある。直接命に関わる病気ではなく自然に治る場合もあるが、放置するとまひが残り容姿や社会生活に影響が出る恐れがある。発症を防ぐのは難しいため、異常を感じたら早めに治療を始めることが大切だ。

顔面神経まひは名前の通り、顔の筋肉を動かす神経がまひしてしまう。この神経は脳から出て耳の近くにある側頭骨の中を通って目や鼻、唇につながっている。このため、まひすると顔の片側が垂れ下がったり、まぶたが閉じにくくなったりする。

■年2万人程度発症

推計では国内で毎年2万人程度が発症している。10代から50代にかけて患者が増え、60代以降は徐々に減る。妊婦で発症しやすいが、それ以外は男女差はないという。患者は外見を気にしてしまいがちなので、深く悩む例もある。

この病気はいくつかタイプがあるが、7~8割を占めるのが「ベルまひ」と呼ぶタイプだ。

兵庫県西宮市に住む男性のAさん(53)は、朝起きたら顔に違和感を覚えた。気にせず出勤したが、夕方には歯医者で麻酔を打たれたように右の口周りがしびれてきた。脳梗塞を疑いすぐに脳外科を受診して磁気共鳴画像装置(MRI)などの検査を受けたところ、顔面神経まひとの診断だった。

Aさんは専門医のいる大阪警察病院(大阪市)に入院して治療し、後遺症もなく治すことができた。同病院の松代直樹顔面神経・難聴センター長は「まひは左右どちらでも起こる。口がうまく動かせず、パ行が発音できなくなる例もある」と指摘する。目を閉じられない場合もあり、角膜が乾いて傷付くのを防ぐため頻繁に目薬をさしたり目に軟こうを塗ったりしなければならない患者もいる。

ベルまひの原因は、以前に感染した「単純ヘルペスウイルス」と考えられている。ありふれたウイルスで非常に感染しやすい。感染後は体内に潜み続ける。

それが寒さやストレスなどをきっかけに再び活性化し、顔面神経に炎症をもたらす。この結果、膨らんだ神経が周囲の骨に圧迫されて傷付いたり、神経内の信号伝達が妨げられたりして発症する、というのが専門家の見方だ。「仕事上のストレスの影響や、屋外で冷たい風にさらされて発症する人もいる」と松代センター長は説明する。

再活性化してまひをもたらすウイルスは他にもある。水ぼうそうのウイルスだ。水ぼうそうが治っても体内に潜んでおり、ビリビリと強い痛みが出る皮膚の病気の帯状疱疹(ほうしん)の原因になるのは知られているが、「顔面神経まひにも注意してほしい」(近畿大学の土井勝美教授)。

このタイプは「ラムゼイハント症候群」と呼ばれ、顔面神経まひ全体の1~2割を占める。まひのほかに、耳や耳の穴に水ぶくれができて痛む。めまいや耳鳴り、急性の難聴なども伴いやすい。

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