皿の使い回しはNG 立食パーティーのマナー
共に楽しむ 忘れずに
いざ参加した立食パーティー。テーブルには料理がずらりと並び、会場内には小さなテーブルが配置されている。どう振る舞えばいいのか、困惑した経験のある人も多いだろう。
「食輝塾」主宰で立食のマナー講座などを手掛けるフードプロデューサーの小倉朋子さんは「まずは料理の取り方に気をつけよう」と助言する。
1つの皿に大盛りにしたり、好きなものだけ取り分けたり、人の分まで取ったり。「着飾った人が大盛りの皿を抱えているのはあまりスマートではない」と小倉さんは指摘する。
ホテルニューオータニ(東京都千代田区)のビュッフェレストラン「ビュー&ダイニング ザ・スカイ」の安藤秀樹支配人は「自分で料理を取るビュッフェ形式の食事の場合、着席でも立食でも前菜から順番に食べるのが基本」と話す。いきなりメーン料理に手を付けたり、デザートに向かったりするのは避けよう。
1つの皿に盛りつける量には気をつけたい。「一皿には3~4種類までにとどめ、冷菜と温菜は別の皿にするなど、盛り付け過ぎないように」(安藤支配人)。大量に取ったり、同じ物ばかり取り分けたりしてしまうと、他の人の迷惑にもなる。料理を食べるのは自分だけではないことを意識しておこう。
食べ終わった皿の使い回しは厳禁だ。つい「まだ使える」と思ってしまいがちだが、日本ホテル・レストランサービス技能協会(東京都千代田区)のテーブルマナー委員、宮沢裕城さんは「ビュッフェの場合、何度皿を取り換えてもマナー違反にはならない。むしろ汚く食べる方が失礼に当たる」と指摘する。
皿の取り扱いにも注意が必要だ。食べ終わった皿は、会場スタッフに渡すか、サイドテーブルに置く。料理台に戻すのはマナー違反だ。サイドテーブルは基本的に「下げ台」とされており、食べかけのものでも置けば下げられてしまうことがある。なるべく食べきってから置こう。
立食会場ではどこで食べればいいか。小倉さんは「基本的に料理台の近くではなく、少し離れた場所がベスト」と助言する。
会場にはサイドテーブルが用意されていることが多いが、長時間占有しない方がいい。人数分のテーブルがあるわけではないので、長時間居座ると他の人が使えなくなってしまう。「料理も空間も、他の来場者と共有しているという感覚が大切」(小倉さん)だ。
食事よりも交流を
多くの人と交流できるのが立食パーティーの良さ。人と話すときには、どんな点に注意したらいいのか。
日本ホテル・レストランサービス技能協会の宮沢さんは「皿を持ったまま話しかけるのはスマートではない。いったん皿を置いてから」と助言する。自分が食べているときに話しかけられた場合も、近くのテーブルに皿を置く。基本的に、グラス片手に話すのがいい。皿やグラスは左手で持つのが一般的だ。
上級者向けに、皿とグラスを同時に持つやり方もある。皿とグラスの形や大きさによって持ち方は変わってくるが、覚えておくと便利だ。
おいしい料理が並んでいると、つい食べることに夢中になりがち。でも立食の場合、「食事よりもコミュニケーションに主眼がある」(小倉さん)。仲間内で固まって壁に張り付いているのではなく、会場を回遊して多くの人と会話を楽しみたい。
立食パーティーは自分の世界を広げるチャンス。比較的フォーマルなものからカジュアルなものまでバリエーションも多い。会合の趣旨を理解しつつ、賢く活用したい。
(河尻定)
[日経プラスワン2014年4月5日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。