厚労省がん対策・健康増進課の担当者は「アジアの論文を中心に研究し、BMIの目標数値をまとめた」と話す。死亡率を抑える指数の範囲に加えて、日本人のBMIの現状や、死因とBMIの関連などをもとに専門家らが検討を重ね、多くの日本人に向くBMIの目標範囲を定めた。これらを上回ると、食事を減らしたり運動を増やしたりして数値の低減を目指す。

新摂取基準は5カ年の計画。期間中にすべての日本人が目標値を達成するのはまず不可能だが、個人ではどれほどの効果があるのか。女子栄養大学の浅尾貴子助教は今回のBMI採用について「個人の体格差に合わせた適切な食事量がより知りやすくなる」と一定の評価を与える。

ただBMIの目標値を維持するには、自分の食事量を細かにチェックし、それに合わせた体重の増減を把握することも大切だ。どれくらいのカロリーを摂取すれば目標値に届くのか、食生活を管理したほうがよい。これまでに国が定めたエネルギー量の目安を参考にしよう。浅尾助教は「個別の食事指導がさらに大切になる。管理栄養士などの専門家がわかりやすく具体的な食事の量と内容を示す必要がある」と指摘する。またウオーキングなど適度な運動が重要な点は以前と変わらない。

厚労省は5年以内に研究班を立ち上げ、BMIの目標範囲に収まる人たちの食生活の実態把握を始める考えだ。適切なBMIの人がどれだけのカロリーを摂取しているかを調べて次の基準作成に生かす。来年版の報告書でBMIを採用しても、エネルギー量をカロリーで表す方法も参考として残す方針だ。

■測定と計算に手間

従来は食品の包装や食堂などのメニューに記されたカロリーを参考に自分が食べる量などを調節できた。BMIになじむのは時間がかかるかもしれない。毎日といわなくても就寝前などに体重を測り、計算する必要がある。厚労省の担当者は「かなり簡単な計算だ」というが、負担と感じる人もいるはず。身長と体重を打ち込めばBMIを計算してくれるスマートフォン用アプリなどを使うのも手だ。

今回を機に、改めて食習慣などを見直してみるのもよいかもしれない。

(山本優)

ひとくちガイド
《インターネット》
◆肥満について理解を深めるには
 厚生労働省の肥満ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/himan/
《本》
◆カロリーも引き続き活用したい人に
 「見るだけヤセ!脂肪を減らすカロリー事典」(浅尾貴子監修、高橋書店)

[日本経済新聞朝刊2014年3月30日付]

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