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ライフコラム
エコノ探偵団

2014/4/1

エコノ探偵団

機能分散 滞る国、進む企業

「そもそも首都機能の移転・分散は可能なの?」。明日香が東京都知事本局の担当者に聞くと「分散すれば経済活動の効率が悪くなります。費用も莫大で、国全体にもマイナスです」と反対した。

政府は99年、国土庁(現国交省)の審議会が首都の移転候補地として「栃木・福島」「岐阜・愛知」など3地域を選んだが、03年の国会の特別委員会は移転はすべきとしつつも、候補地を1つに絞り込めなかった。作業は停滞している。

明日香は、首都圏が被災した時にバックアップ機能を担う拠点を関西に置くよう提言した大阪の関西経済連合会を訪ねた。地域連携部長の神田彰さん(49)は「複眼型の国土を目指すべきだと政府に提言しました」と話した。

国とは対照的に、多くの企業が自然災害に備え地方分散を始めている。明日香は11月に札幌本社を設立するアクサ生命保険を訪ねた。危機管理・事業継続部門長の小笠原隆裕さん(44)は「東京との2本社体制とし、札幌はバックアップ機能を担います。東京が被災した時は保険金の支払いなどの業務はすべて札幌が対応し、お客様への影響を最小限にとどめます」と狙いを話した。

「日本はどうなるのかしら」。明日香が疑問を感じていると、日本総合研究所・関西経済研究センター所長の広瀬茂夫さん(54)が「企業などのもうけが東京圏に集中し、地方が補助金などを分けてもらう構図が続くと、日本が成長できなくなる恐れがあります」と指摘した。今後は「東京の負担を軽くするには、地方自らの成長戦略が必要でしょう」と警鐘を鳴らした。

事務所に戻った明日香は「東京一極集中は少しでも良い仕事を求める人々の選択の結果です。でも集中し過ぎると東京と地方の弊害を大きくします」と報告。「うちの事務所も人口密度が高すぎるから広いところに引っ越しましょう」。明日香の提案に所長夫人の円子が「免震ビルが良いわね」と言うと、所長が「もっと狭くなるぞ」と一言。

(松林薫、福士譲、井上円佳)

[日経プラスワン2014年3月29日付]

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