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ライフコラム
エコノ探偵団

東京へ人口集中 何が問題?

2014/4/1

エコノ探偵団

「最近、東京への人の移動が再び活発になってきたという話を聞いたが」。神田のご隠居、古石鉄之介が探偵事務所で疑問をぶつけた。「東京の魅力が高まっているからでしょうか?」。興味を持った探偵の深津明日香が早速、調査に出た。

明日香が総務省の統計を調べたところ、2013年に東京圏に引っ越した人数から転出した人数を引いた「転入超過数」は約9万7千人。東京圏への転入超過は、東日本大震災が起きた11年、12年も6万人台を維持し、18年連続となっていた。これに対し大阪圏と名古屋圏では13年にそれぞれ約7千人、約150人の超過にとどまっていた。

第一生命経済研究所の首席エコノミスト、嶌峰義清さん(47)に聞くと「地方の少子高齢化が著しく、仕事を求める人が東京圏に移動するという構造的な理由があります」と指摘。震災の影響で転入超過のペースは鈍っていたが「アベノミクスによる株高を背景に個人消費が主導して景気が回復し、商業圏に人口が流入しました」と嶌峰さん。

過去も調べようと、明日香は国土交通省を訪ねた。国土政策局計画官の酒巻哲朗さん(49)は「大都市圏への人口流入は高度成長期に加速し、国は工場や大学の立地を制限するなど『国土の均衡ある発展』を目指しました」と話した。一時、大都市圏への流入は落ち着いたものの、東京圏では1980年代のバブル期に人口が再び集中。バブル崩壊後、転出超過になると「国は規制を緩め、企業や大学の都心回帰を進めました」。

酒巻さんは、1人あたり県民所得でみた「ジニ係数」のグラフを明日香に見せた。ジニ係数は経済格差が広がると上昇する。ジニ係数が上昇している時は「長期的には仕事や高い所得を求めて、大都市圏への人口流入が増える傾向にあります」と指摘した。

実際、バブル期や08年のリーマン・ショック前はジニ係数が上昇し、東京圏への人口流入も加速していた。酒巻さんは「最近の流入も格差の拡大を表しているかもしれませんが、人口移動がさらに格差を広げて人の移動を促す面もあり、東京圏への人の流入は止まりません」と強調した。

明日香が事務所に戻って中間報告をすると、所長が「それにしても東京一極集中にはどんな問題があるんだ? 昔と違う弊害があるかもしれんぞ」と宿題を出した。

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