ご用心、まぶたのトラブル 神経の病気潜む

最近、疲れのせいかまぶたが重たい。ドライアイがひどくて目が開けられない。最近、よくものにつまずく……。それらの症状、もしかしたら「まぶた」に主な原因があるのかもしれない。まぶたに起こる病気とその治療法などについて専門家の話を聞いた。

私たちの目の「まぶた」は小さな精密機械だ。人間は1分間に15~20回程度、無意識にまばたきをしてるが、その時間はわずか5分の1秒ほど。だから大切なものを見逃したりしない。このとき、同時に涙液を押し出し眼球全体に広げる働きもしている。また、まぶたによって喜怒哀楽の表情が生まれるなどコミュニケーションの名脇役でもある。

■加齢変化と区別

そんな、まぶたに起こるトラブルの原因は、大きくわけて加齢変化によるものと、神経の異常がもたらすものに分けられる。例えば、50代になれば多少なりとも誰にでも生じるのが眼瞼(がんけん)下垂だ。まぶたの内側には薄い軟骨の板があり、挙筋腱膜という薄い組織によってまぶたを持ち上げる筋肉とつながっている。北海道大学病院(札幌市北区)形成外科教授の山本有平さんは「加齢とともに筋肉や挙筋腱膜の機能が衰えることにより、目が大きく開かなくなるのが眼瞼下垂だ」と話す。

高齢者ではよく見られる症状だが、最近では長期間のコンタクトレンズの使用により挙筋腱膜が傷つき、それほど高齢でなくても眼瞼下垂の症状を訴える人が増えているという。

神経の異常がもたらすまぶたのトラブルはたくさんあるが、かかる頻度の高い病気の一つが眼瞼けいれんだ。井上眼科病院(東京都千代田区)名誉院長の若倉雅登さんは「眼瞼けいれんというとまぶたがピクピク動く病気だと思われがちだがそうではなく、目が乾く、しょぼしょぼする、目を開けていられない、目をつぶっていた方が楽といった症状をもたらす」と話す。

症状の程度はさまざまで、目が開けにくいということから患者のなかには自分で加齢による眼瞼下垂だと思い込んだり、目の違和感からドライアイと診断されたりすることも多い。若倉さんが診て治療した患者の半分以上は、他の病院でドライアイと診断された経験があった。逆に、1997年に国内のドライアイで治療を受けている患者を調査した研究では、8%の患者で比較的重度の眼瞼けいれんがあったという。

■日常生活に支障

眼瞼けいれんが眼瞼下垂やドライアイなど他の病気と異なるのは患者のQOL(生活の質)が著しく低下することだ。若倉さんは「ドライアイで車の運転に支障をきたすことは非常にまれだが、眼瞼けいれんでは運転中目が開けられなくなり事故を起こしてしまうことがある」と話す。また、人と対話中に目が閉じたくなり、下を向いてしまうことが多く、仕事に悪影響が出ることもある。

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