動脈硬化症、総合力で診療 ハイブリッド手術室も日経実力病院調査2013

動脈硬化が進み足の血流が悪化して発症する閉塞性動脈硬化症の患者は、高齢化や生活習慣病の増加などで増えており、全国で300万人を上回るとされる。日本経済新聞社の「日経実力病院調査」では、先端技術を駆使するとともに、全身を診ながら血管内治療やバイパス手術などを実施する「総合力の高い実力病院」の姿が浮かび上がった。

■手術室が進化

ハイブリッド手術室ではバイパス手術とカテーテル治療を同時に進める(神奈川県鎌倉市の湘南鎌倉総合病院)

広い手術室の中央で、医師がモニター画面を見ながら患者の足の血管にカテーテルを入れていく。湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)のハイブリッド手術室。血管のエックス線造影装置と手術台を組み合わせ、従来は手術室とカテーテル検査室で別々に行っていたバイパス手術と血管内治療を同時に実施できる。

閉塞性動脈硬化症は、足の動脈が狭くなったり詰まったりして血行不良となり、足のしびれや休まなければ歩き続けられない間欠性跛行(はこう)など特徴的な症状が出る。

軽症患者の治療は症状の改善が目的で、薬物治療と運動療法で経過をみる。それでも症状が改善しない場合、血行をよくする治療に移る。

病変のある個所に血管の迂回路をつくるバイパス手術と、動脈内にカテーテルを入れ、狭くなった個所を金属の筒(ステント)や風船(バルーン)で広げて血行を回復させる血管内治療が代表的。重症患者は足の組織が壊死(えし)して、最悪の場合切断する恐れもあるため、積極的にこうした治療をする。今回の調査で「手術あり」はいずれかの治療の実数だ。

同病院では循環器科が数多くの血管内治療を実施する。「血管外科はバイパス手術と血管内治療の両方の治療をするため、ハイブリッド手術室が威力を発揮する」と荻野秀光部長。「従来開腹せざるをえなかった骨盤内の腸骨動脈は血管内治療、ももの大腿動脈より下はバイパス手術を選択する」という。

また「動脈硬化の進行した病態」といわれる閉塞性動脈硬化症の患者は、脳や心臓、腎臓などに動脈硬化性疾患を併発しているケースが多い。同病院はこれらの治療にも強く、「循環器内科、脳卒中科、腎臓内科、糖尿病科、形成外科など関係する診療科の総合力で治療しているのが強み」(荻野部長)という。

今回の調査で「手術あり」が全国で2番目に多かった関西労災病院(兵庫県尼崎市)は、2007年に心臓血管センターを設け、循環器内科医を中心とする末梢血管治療チームが、血管内治療を実施。過去5年間で重症下肢虚血の患者550人を治療し、約92%の患者が脚を切断せずにすむ好成績を挙げた。血管が狭窄した病変の治療の成功率は95%を誇る。

「週1回、循環器内科、心臓血管外科、形成外科の医師や理学療法士ら20人前後が集まって症例を検討し治療法などを決めている」と上松正朗心臓血管センター長は語る。「血管が完全に塞がっていたり、病変の範囲が大きかったりする患者はバイパス手術が主体。合併症があったりして全身状態が悪いと、従来は切断してしまうケースもあったが、現在ではリスクを慎重に検討して血管内治療を実施している」