海外限定品、ネットで安心お取り寄せ
「日本にはないものが現地の価格で買えるのでありがたい」。埼玉県鶴ケ島市の主婦、中村伯美さん(39)は日用品などの購入にgroowbits!(グロービッツ、東京・中央)の配送サービスを利用している。3カ月に一度、欧州や米国で販売している商品をまとめて送ってもらっている。
欧米に物流センター
同社のサービス「malltail(モールテール)」では、まず利用者が欧米などの通販サイトで商品を購入する。注文した商品は欧米にある同社の物流センターを送り先にして届けてもらう。センターでは商品が破損していないかなどをチェックして、日本に配送される。
商品の購入代金のほか、手数料を含めた配送料がかかるが、同社は運送会社と法人契約を結んでいるため、個人で輸入するよりも安く済む。複数のサイトで商品を購入した場合でもまとめて梱包して配送してもらえ、負担をさらに抑えられる。関税がかかる商品は、日本に配送した後に利用者が支払う。
海外の通販サイトは安売りセールやキャンペーンを頻繁に開いており、商品の製造・販売元が日本向けに設けている公式サイトの販売価格より安いことが多い。「送料を含めても日本の公式サイトより安くなる場合がある」(仲里一義社長)。購入手続きから平均10日程度で手元に届き、個人で輸入する場合と期間はほとんど変わらない。
サイトに登録すれば同社の配送サービスを利用できる。サイトでは購入した商品の配送履歴も随時確認できるほか、まとめて配送してもらいたい商品を選べる。海外サイトのセール情報を紹介したり、代表的な通販サイトの購入手続きも案内したりしている。
サービスは2011年から開始。現在は米国とドイツ、韓国に物流センターを持っており、米国と欧州、韓国のサイトで買い物をするときに利用できる。日本での利用者は約1万人。そのうち1割が月5回以上利用している。「日本で販売していない衣料品や雑貨を購入するときの利用が多い」(仲里社長)
「コーチ」や「セリーヌ」などの人気ブランドが定価より5割以上も安い価格で並んでいるサイトがある。海外の限定商品の輸入代行サイト「BUYMA(バイマ)」だ。日本で未入荷の商品や希少な色やデザインの商品も扱っている。
現地バイヤーが購入
利用者の注文を受けて各地のバイヤーが購入する仕組み。バイヤーは約100カ国・地域に住む約5万人の個人。有名ブランドの衣料品や宝飾品などを現地で買い付ける。利用者は商品が手元に届いた段階で代金を払えばいい。現在注文を受け付けているブランドの数は4600にのぼり、会員数は170万人に達する。
会員登録は無料で、商品代に手数料を上乗せして払う。商品は1週間程度で届く。グロービッツのサービスと同様、手数料込みでも日本で買うのに比べて安くなることもある。
日本のサイトで安心して海外の限定品を購入できるサービスもある。LASO(東京・中央)が運営するサイト「LASO(ラソ)」では、米靴ブランドの「SJP」など、国内に正規の輸入販売代理店がない400のブランドの商品を扱っている。
顧客に渡す前にLASOが検品するため、注文してから商品が届くまでに1~2週間かかる。届いた時点で傷などがついていたら、商品の写真を撮って注文した利用者に画像で確認してもらう。注文を取り消しても追加料金は請求されない。
経済産業省の調べによると、12年度の日本と米国、中国の間での「越境EC(電子商取引)」の取扱額は3780億円。20年には最大で2兆3千億円まで拡大する可能性があると予測している。海外の商品を安心して購入できるネットサービスの登場で、どの国のサイトなのかを気にせずより手軽にネットでの買い物を楽しめるようになりそうだ。
(企業報道部 名古屋和希)
[日本経済新聞夕刊2014年3月27日付]
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