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エコノ探偵団

成果主義は下火に 企業、個人の働きどう評価

2014/3/25 日本経済新聞 プラスワン

「今期は数字も上げたし、頑張ったから給料は上がるかな」。探偵事務所を訪れた営業マンのつぶやきを聞いて、探偵の松田章司は疑問に思った。「春の賃金交渉が話題になっているけど、個人の働きは会社でどう評価されているのだろう?」

■時間で判断陥りやすく

章司が調べると、仕事を評価する指標には労働時間や勤続年数、実際に出した成果、仕事をする能力などがあることが分かった。評価を賃金に連動させる方法も年俸制や一時金など企業により異なる。

「バブル崩壊後に、賃金と成果を連動させる成果主義が増えたはずだけど…」。章司は日本企業の状況を聞こうと、経営論が専門の東京大学教授の高橋伸夫さん(56)を訪ねた。「成果主義は1990年代後半以降もてはやされました。コスト削減を目的に導入したものの一部の数字にとらわれ過ぎて失敗した企業も多く、今は大半が従来型の賃金体系に戻していますよ」

「年功序列ということですか」と章司が聞くと、高橋さんは「もともと日本企業の年功序列型賃金は生活保障としての基本給だけです。実質的には優秀な人は要職に登用し、仕事の内容とそれに伴う報酬で差をつけてきたのです」。心理学では「内発的動機づけ」と呼ばれる仕事そのものへの意欲は、賃金などの「外発的動機づけ」より有効とされる。「労働者の意欲を上げるには賃金や目の前の仕事より、長期的に面白い仕事ができる見通しが重要です。その意味では終身雇用は合理的でした」と高橋さん。

「でも今は終身雇用が崩れつつあって、長期展望が描きづらそうだ」。章司が次にゲーム理論が専門の東京大学教授、松井彰彦さん(51)を訪ねると「長期的関係が見込めないと、上司と部下で、お互いに悪い予想を実現させてしまう可能性があります」。

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