急性白血病、化学療法が柱 「ミニ移植」も日経実力病院調査2013

年間約8千人が死亡する白血病。このうち急速に進行する急性白血病は抗がん剤を使う化学療法が治療の柱だ。日本経済新聞社が公開データを基にした「実力病院調査」によると、症例数が多い病院は白血球減少に伴う感染症や副作用への対策を徹底し、治療成績が向上している。血液をつくる細胞移植は患者負担が少ない「ミニ移植」が増えている。

白血病は「血液がん」の一種。血液をつくる骨の中の骨髄で白血病細胞(がん細胞)が異常増殖し、正常な血球が減少する病気だ。酸素を運ぶ赤血球が減ると貧血や全身のだるさなどの症状が表れ、細菌を攻撃する白血球が少なくなれば感染症を起こしやすくなる。

急性白血病は「骨髄性」と「リンパ性」に大別される。化学療法で白血病細胞を減らし、血球や血小板の数を正常な範囲にする「寛解」にできるどうかがポイントの一つ。「寛解導入療法」に続き、体内に残った白血病細胞を減らして寛解を維持し再発を防ぐ「地固め療法」や「維持療法」に移るのが治療の流れだ。

■複数の抗がん剤

抗生剤の点滴を受ける患者(福岡市東区の九大病院)

今回の調査で「手術なし」が全国最多の320例だった札幌北楡病院(札幌市)は成人に多い骨髄性の場合、寛解導入療法や地固め療法でシタラビンなど複数の抗がん剤を併用する。いくつかのタイプがあり、うち1つは抗がん剤ではなくレチノイン酸(活性型ビタミンA)を用いる。内科の小林直樹統括診療部長は「治療は半年ほどかかる。再発せずに治癒する患者は5割近くに上昇している」と話す。

一方、リンパ性は骨髄性と比べて再発する可能性が高い。寛解導入療法、地固め療法に続き、定期的に抗がん剤を投与する維持療法を行う。維持療法は外来に切り替えることが多く、全体の治療期間は約2年に及ぶという。

「手術なし」が全国4番目の172例だった九州大病院(福岡市)の宮本敏浩講師も「寛解を得ることが治療の第一目標」と強調する。骨髄性では寛解導入療法後の地固め療法で、通常の20~30倍の量のシタラビンを投与する「大量化学療法」を3回繰り返す。リンパ性の場合は、白血病細胞を選んで攻撃するため副作用が少ない分子標的薬を使うこともある。

抗がん剤治療は体内の正常な白血球も減るため、感染症対策が重要になる。同病院は2006年、「無菌病棟」を導入した。空気中のカビなどの真菌によって患者が肺炎などにかかる恐れがあるため、目の細かいフィルターを天井裏に張って病棟全体に清潔な空気を送る。治療の際には点滴などで抗真菌薬も投与している。

札幌北楡病院では化学療法などを受ける「無菌室」が30床あるほか、歯科医が口腔(こうくう)内のケアに積極的に取り組む。「白血球が減ると、食物の通り道となる口の中や胃腸で炎症が起きやすくなる。虫歯や歯槽のう漏による細菌が入るのを防ぐ」(小林部長)ためだ。