ワンナイト 大島真寿美著合コンで何が起こるか…

2014/3/27
(幻冬舎・1400円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

合コン小説である。ステーキハウスのオーナー夫妻が、独身でオタクの妹のために合コンを開くのである。男は、身を固めたいけど相手のいない酒問屋の息子小野と、如才ない米山に、合コンにきたというのにやる気が感じられない戸倉の3人。女は、バツイチの瀬莉にその友達で結婚に焦っているさなえ、そしてオーナーの妹歩(兄夫婦に反対できずに参加しただけで、ほとんどやる気はなし)。この6人とオーナーの妻鏡子の視点でリレーするようにその顛末(てんまつ)が語られていく。

 大島真寿美の小説であるから人物造形は当然ながら群を抜いていて、圧倒的に読ませる。今回は35歳の歩の造形が絶品。合コンにはまったく興味のなかった彼女が、そのなかの1人に関心を抱いて連絡を取るあたりから、物語は俄然(がぜん)盛り上がっていく。うまいうまい。

 合コン参加者+オーナーの妻鏡子という7人の視点以外に、もう1人別の人物の視点が入るのも本書のミソ。余韻たっぷりに終わるそのラストがなかなかにいい。

 世の中は何が起こるかわからない、というのが本書のモチーフだが、だから愉(たの)しくなるのである。

★★★★

(文芸評論家 北上次郎)

[日本経済新聞夕刊2014年3月26日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

ワンナイト

著者:大島 真寿美
出版:幻冬舎
価格:1,470円(税込み)

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