純国産ワインブーム支える耕作放棄地 ブドウ畑に

所長が探偵、松田章司を呼び出した。「純国産の『日本ワイン』をそろえる小売店や飲食店が目立ってきた。何が人気を支えているのか探ってほしい」。章司は「ワインは輸入品ばかりではないのですね」と関心を示し、事務所を飛び出した。

2013年の純国産ワイン出荷量、10年比3割増

章司はサントリーワインインターナショナルで推計値を見た。2010年と比べた13年の出荷量の伸びは日本ワインが3割で、ワイン全体(2割弱)をしのいだ。「ワインは13年の国内総出荷量3260万ケース(1ケース=9リットル)のうち国産が24%程度。国産の13%が日本ワインですが、この2つはどう違うのでしょうか」

国産ブランド部の木村靖彦さん(49)が答えた。「国産ワインの多くはいまだ海外原料を使用していますが、国産ブドウを使い国内で醸造した純国産ワインを『日本ワイン』と呼んで区別しています」

同社は10年に日本ワインの新ブランド「ジャパンプレミアム」を発売。家庭の消費者や飲食店のソムリエの注目を集め、売り上げを伸ばした。

メルシャンは日本ワインの主力ブランド「シャトー・メルシャン」の出荷量を14年は10年の3倍近くに増やす計画だ。そのため14年1月には東京都港区に同社の日本ワインを専門に扱うバーを開いた。

「なぜ日本ワインがもてるのか」。章司はスーパーを展開するイトーヨーカ堂を訪ねた。同社は日本ワインの需要増に対応、取扱店舗数を大幅に増やした。加工食品部の相沢良太さん(43)は「安全重視で純国産を求める風潮が及んできました」と答えた。

東京都新宿区のスーパーで日本ワインを買った女性会社員(40)は「おいしくなり買う頻度が高まりました。フルボトルで1500円以上が多いので、チリ産など輸入品に比べ値段は高いのですが」。

「味の向上も日本ワイン人気を支えているのか」。メモをとる章司にサッポロビールのワイン戦略部、上農和宏さん(45)がささやいた。「ワイン産地の山梨県の音頭取りで03年に始まった日本ワイン品評会がワイナリー(ワイン醸造所)間の品質の競争を促しています」。同社は12年に同県甲州市のワイナリーを5億円かけ改修、ここでは日本ワインブランド「グランポレール」だけを生産している。

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