自分好みの日本酒見つけよう 味と香りで4タイプ
発泡性の日本酒も人気
「自分の好みはどんな味だろう?」。ザ・リッツ・カールトン東京(東京都港区)の日本料理店「ひのきざか」で、2月から提供を始めた「利き酒セット」(2000円)が好評だ。日替わりの3種類を、利き酒師の説明を聞きながら飲み比べできる。
友人と来店した都内在住の会社員、青木葉子さんは、風味の違いを楽しんだ。「こんなに味が違うなんて、びっくり」
日本酒を造る酒蔵は全国に1500カ所以上あり、4万~5万種の銘柄が存在する。このうち一定の条件を満たしたお酒は、ラベルに「純米酒」「大吟醸酒」などの「特定名称」を書くことができる。特定名称は酒造りの際に米を削った割合(精米歩合)などの基準に応じて8種類ある。
アルコールを添加せず、米と米麹(こうじ)のみで醸造したお酒を「純米系」という。米由来のふくよかなうまみが特徴で、日本酒の原点といえる。一方、醸造アルコールを添加したものには「本醸造酒」「吟醸酒」などがあり、すっきり透明感のある味が多い。
日本酒を味と香りで4タイプに分ける方法も目安になる。華やかな香りの「薫(くん)酒」、フレッシュで軽快な味の「爽(そう)酒」、どっしりとしたコク、複雑な香りの「熟酒」、まろやかな米のうまみがある「醇(じゅん)酒」だ。
それぞれには相性のよい料理がある。薫酒はヒラメの昆布締め、山菜の天ぷらなど素材の味を生かした料理、醇酒は筑前煮や酢豚、ステーキなどコクのある料理と相性が良い。
日本酒のアルコール度数は15%ほど。「強すぎる」と思う人は、低アルコールタイプを試してもいいだろう。
最近は発泡性の日本酒も人気だ。たとえば宝酒造の「澪(みお)」はアルコール度数が5%。ほんのり甘口で女性にも飲みやすい。発泡性の日本酒は米国など海外での人気も高まっている。
合間に水 楽しく酔って
2月上旬。「鶴齢(かくれい)」の蔵元、青木酒造(新潟県南魚沼市)では朝6時から酒造りが始まった。原料は米と水。米を蒸し、麹で米のデンプンを糖化し、酵母の力で発酵させる。雪や雨が山に降り、長い時間をかけて湧き出した伏流水を、同社は地下80メートルからくみ上げている。水は酒造りの生命線だ。
米の出来具合や気温などで、味やアルコール度数が変わる。1カ月以上かけて、おいしく出来上がるのを待つ。
蔵元からのメッセージは、瓶のラベルに込められている。「コクのある辛口」など味わいの特徴や、おいしい飲み方などが書いてあることも。自分に合う日本酒を探すには、ラベルをよく見るか、酒販店や料理店で店員に聞くといい。
酒席を楽しむために、マナーも知っておこう。お酌をし合いながら飲むのが作法。相手のおちょこを確認し、3分の1以下になったら勧める。注ぐのは8分目まで。受け手は勧められたら、飲み干す必要はないが一口飲んでから注いでもらう。
注いでもらったらお礼を伝え、一口つけてから杯を机に置く。一気飲みや無理強いは厳禁。食事をし、合間に水を飲みながら楽しむと深酔いをしにくくなる。自分の適正な酒量を知り、飲み過ぎに注意しよう。
秋から冬の熱かんには濃厚でまろやかな味のお酒が向く。春から初夏には華やかな香り、暑い夏にはフレッシュな味のお酒を冷やして飲むとおいしい。冬から春にかけては、新酒が店頭に出回る。
(佐々木たくみ)
[日経プラスワン2014年2月15日付]
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