卵巣がん、腫瘍切除と化学療法併用で粘り強く治療日経実力病院調査2013

卵巣がんは年間約8千人が発症、約4千人が死亡する。自覚症状がなく検診での発見も難しいため、進行した状態で見つかるケースが多い。一方で、抗がん剤が比較的効きやすいという特徴もあり、日本経済新聞社が公開データを基にした「実力病院調査」によると、症例数が多い病院は腫瘍部分の切除と化学療法を組み合わせて粘り強く治療に当たっていた。抗がん剤の新薬が増え、治療の選択肢も広がっている。

卵巣がんは主に4つ組織型があり、約4割は進行の早い「漿液(しょうえき)性腺がん」だ。出血や痛みなど症状が出にくく、発見時には1~4期に分かれる進行期のうち、転移が広範囲に広がっている3、4期のがんが多い。手術だけで完治することは極めてまれで、術後に抗がん剤の治療を追加するのが一般的だ。

■初回は試験開腹

今回の調査で「手術あり」が全国2位の117例だった埼玉医大国際医療センター(埼玉県日高市)。婦人科腫瘍科の藤原恵一教授は「初回の手術では多くの臓器を摘出するのは望ましくない」と話す。3、4期のがんは転移が広範囲にわたるため、手術範囲が広い。初回手術で腸や肝臓など多くの臓器を摘出すると、腹膜炎や腸閉塞などの合併症で抗がん剤治療を始められなくなるリスクが高まるという。

そこで同センターは手術後の抗がん剤治療の途中で再手術し、初回の手術で残った腫瘍を取り除く「腫瘍減量手術」(IDS)を積極的に採用。1回目の手術は数ミリメートルの卵巣の上皮にあるがん細胞の組織を採取する試験開腹にとどめる。組織を分析し、卵巣がんのパターンに合わせて薬物治療を開始。がんを小さくした上で再手術するため、患者への負担が和らぐ。

患者の約半数はがんが卵巣にとどまっている1期と、転移が卵管や子宮など周辺に限られる2期。腫瘍の完全切除も可能だが、残りの半数はがんが進行し、手術だけでは根治が難しい。このため、化学療法として抗がん剤のパクリタキセルとカルボプラチンを併用する「TC療法」を採用。7~8割の患者はいったん、がんが消えたように思われるが、半年間や1年後に再発することが多い。

東京大病院(東京・文京)は初回治療の終了後6カ月以上を経て、再発した場合、初回治療と同様にカルボプラチンなどプラチナ製剤を採用。6~12カ月以内の再発には主にドセタキセルとカルボプラチンを併用する。産科婦人科の織田克利講師は「副作用などを考慮し、他の抗がん剤とプラチナ製剤の併用療法を行うことも可能」と指摘する。