乳がんタイプ別に最適治療法 術前検査の精度向上日経実力病院調査2013

検査では外部の医療機関、ゆうあいクリニック(横浜市)と連携。陽電子放射断層撮影(PET)による画像診断も行う。正常な細胞より、代謝が盛んながん細胞に多く取り込まれる放射性検査薬を注射。乳房内の放射線発生部位を撮影、悪性の可能性を判断する。

乳がんの手術件数(461件)が北海道・東北地域でトップの東北公済病院(仙台市)は、地域の民間クリニックと連携する「開放型病院」に取り組む。手術設備が整わないクリニックで診察を受けた乳がん患者らをかかりつけの医師とともに受け入れ、協力して治療に当たる。患者にとっては一貫した方針で治療を受けられる安心感につながり、病院も外来対応の負担を抑えられる。

現在、32のクリニックと契約。手術数は昨年が約120件と10年からほぼ倍増した。平川久・乳腺外科統括部長は「ここまで本格的に運用している病院は珍しい」と話す。

「手術なし」が1416件と全国最多を誇る同病院では、本来は抗がん剤治療は日帰りで対応できるケースでも外来治療の設備が足りないため、入院してもらうこともある。今回の病院調査の診療実績は退院患者数を対象としているため、件数が膨らんだ。

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予防切除 関心高まる カウンセリング拡充急ぐ

米人気女優アンジェリーナ・ジョリーさんが乳がん予防のために正常な乳房を切除したことで、予防手術への関心も高まっている。「リスク低減手術」と呼ばれ、手術に踏み切る病院は多い。

がんは遺伝子にいくつもの変異が蓄積。細胞が異常繁殖するようになって起こる。遺伝性乳がんの発生割合は5%前後といわれる。

相良病院(鹿児島市)の倫理委員会は昨年6月、遺伝性乳がんの予防切除手術を承認した。対象は特定の遺伝子に変異があり、乳がんを発症するリスクが高い人。本人の希望があれば、遺伝相談外来で十分に説明を受け、倫理委の承認を経た上で、手術する。手術例はまだなく、乳腺外科の馬場信一医師は「予防手術の希望者は今後、増える」とみる。

遺伝性乳がんの発症リスクは通常より10~20倍高いが、予防切除をすれば発症リスクが90%以上、抑えられる。予防手術は全摘が基本。公的保険の対象外で、乳房再建を含め200万円かかる。馬場医師は「予防切除するかどうかはメリットとデメリットを十分に考え、慎重に選択してほしい」と訴える。

聖路加国際病院(東京・中央)も11年7月、倫理委員会が承認。片方の乳房で乳がんを発症した患者に、発症していない乳房の切除手術を実施した例がある。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の遺伝子検査を約300人が受けた。予防切除や遺伝子検査の前提となるカウンセリングを重視。13年の相談は約230件で、前年から約2倍に増えた。

ブレストセンター長の山内英子医師は「カウンセリングで患者の不安に寄り添い、後悔しない選択肢を提供することが大切」と指摘。「人材の育成に加え、患者が生活や仕事、家族との関係などで抱える様々な悩みに対応できるトレーニングも必要」と強調する。

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