専門家が伝授 うっかり忘れ防ぐ2つの対策

2014/1/23

暮らしの知恵

「ここに置いたはずなのに見つからない」「手紙を出すのをまた忘れた」。こうしたうっかり忘れやミスは誰にでもあるものだ。今年こそ不注意による忘れ物や無くし物、作業ミスなどを減らし、仕事や家事をスマートにこなしたいと考える人もいるだろう。うっかりを防ぐコツを専門家に聞いた。

忙しい、疲れている、ぼんやりしていた。うっかり忘れの原因は様々だ。「まず人間の注意力は弱く、すべて覚えるのは無理だと認識しよう」と話すのは産業技術総合研究所の主任研究員で、ヒューマンエラー対策を専門とする中田亨さん。「頭に入れたつもりでもすぐ忘れる」という前提で行動するのが大切だという。

第1の対策は、するべきことを一覧にした「TO DOリスト」を作ること。「コンビニエンスストアでペンを買う」といった小さな用件まですべて書き出す。パソコン、タブレット(多機能携帯端末)、手帳など使う道具は好みで構わないが、一つに絞る。

その上でリストの項目について実行する優先順位を付ける。仕事、家庭などの分野ごとに大まかに分け、緊急度や重要度に応じて決めると整理しやすい。「買い物をする」「出張に行く」など具体的な場面を想定しながら段取りを考えるのも効果的だ。

課題を片付ける際に重要なのは一つずつ実行すること。認知心理学と脳科学の立場から脳の働きを研究する京都大学名誉教授の苧阪直行さんは「うっかり忘れは同時に複数の作業をすることに一因がある」と指摘する。

心理学や脳科学では人間の記憶、思考、予測などを支える機能を「ワーキングメモリ」と呼ぶ。日本語で作業記憶ともいい、次々と入る作業情報を判断しながら優先順位を付けたり、計画を考えたりする機能がある。しかし「覚える情報が多すぎたり別のことを同時にしたりすると一時的に容量を超え、うっかり忘れが生じる」(苧阪さん)。

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