過去問・講義動画… スマホで入試対策の総仕上げ
総務省の昨年の調査によると、高校生のスマホ所有率は1年生で既に8割を超える。学習をサポートするサービスやアプリは増えており、通学時などのちょっとした「すきま時間」に、本格的な勉強ができる環境が整いつつある。
リクルートマーケティングパートナーズ(東京・千代田)が運営するインターネットサービス「受験サプリ」では、無料の会員登録をすればセンター試験の過去の問題や模試を利用できる。また、月額980円で見られる各科目の講義動画のうち、講座ごとに1本を無料で公開している。
発音・アクセント対策
この中で、受験サプリの松尾慎治編集長が本番直前に薦めるのが、英語のセンター対策講座「発音・アクセント理論編」だ。センター試験の1科目である英語に必ず出題される発音・アクセントについて、「何となく」解いている受験生が意外と多いという。「これさえ見れば理論的に理解できるので、10点アップも可能」(松尾氏)。予習の必要もなく、1.4倍速バージョンなら最後まで見ても46分。講義用のテキストのダウンロードも無料だ(郵送は有料)。
すべてのサービスはパソコン、スマホ、タブレットで使え、いつでもどこでも繰り返し講義を受けられる。
「最後の確認のために、参考書を全部試験会場まで持って行きたいけれど、かさばりすぎて無理」という悩みもあるだろう。NTTラーニングシステムズ(東京・港)のサービス「大学受験倶楽部」は、15社81教材を一問一答のドリル形式に再構成して提供している。スマホやタブレットにも対応しているので、移動中のおさらいに最適だ。
月額980円で全教材を利用でき、1教材なら100円。既に本の形で持っていても、慣れ親しんだ参考書をスマホからいつでも確認したいという要望があるという。同社ネットラーニング推進部ネットスクール推進部門の山本大地担当部長は、本番直前の利用法について「英語や世界史、日本史といった教科で、最後の暗記チェックに活用してほしい」と話す。
苦手な問題繰り返す
問題を解くたびに「完璧」「不安」のボタンで理解度を入力できる。まだ解いていない問題、不正解した問題といった条件で教材内容を検索する機能があり、理解度を「不安」とした問題だけを抽出して解き直すことも可能。会員全体の正答率もわかるので、ライバルを意識しながら苦手な問題を繰り返し確認するのもいいだろう。
いずれのサービスも、センター試験後の2次試験対策にも利用できる。受験サプリは「早稲田大の英語」など、より実戦的な講義動画も用意する。大学100校の過去2年間の出題問題や大学検索、スケジュール管理といったサービスは無料で提供している。大学受験倶楽部の教材には論述問題に対応したものもある。
大学の公式アプリを調べるのも手だ。大学案内や最新情報のほか、入試に役立つ情報を提供するものがある。例えば南山大(名古屋市)のアプリは、過去に同大学が出題した英語のリスニング問題を、実際の試験と同じ音声で収録している。
受験生の心強い味方になるスマホだが、使えるのは試験が始まるまで。試験の前には必ずスマホの電源を切り、かばんにしまおう。これまでの努力を思い出し、がんばれ受験生!
(電子報道部 森下寛繁)
[日本経済新聞夕刊2014年1月16日付]
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