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「コンダーさんの恋」 明治の人々、国の壁を越える愛

2014/1/17 日本経済新聞 夕刊

大地真央が主演する「コンダーさんの恋」は、鹿鳴館を設計した英国人建築家ジョサイア・コンドルとの国境を越えた愛を描く。明治政府の欧風化政策と日本の伝統文化がぶつかる騒動を背景に繰り広げられる歴史喜劇として面白い。作・演出はG2。

菊川流の踊り手、前波くめ(大地)はコンドル(コンダーさん)の恋人。鹿鳴館は建ったが、ダンスを踊れる日本女性は皆無で、踊りのプロにダンスを教えて舞踏会に出席させる計画が立てられた。くめはコンダーさんのためならと師匠(寿ひずる)の反対を押し切ってダンスを習う。

勝海舟(江守徹)が狂言回し的な役割で、前半は異文化が出合う現場の脱線ぶりが物語のミソだ。会津出身で米国で教育を受けた山川捨松(秋本奈緒美)と薩摩出身の陸軍卿、大山巌(ベンガル)の結婚話。勝の三男、梅太郎(葛山信吾)と米女性クララ(牧瀬里穂)との愛の行方。くめはコンダーさんとの結婚を願うが師匠は認めない。しかし3組は言葉の壁、国境を越えて愛を確かめようとする。

明治座出演3度目の大地は庶民的な娘を演じ、おちゃめさが冴(さ)える。宝塚の男役のように燕尾(えんび)服を着てクララを相手に踊る場面は、トップスター時代を思い出させる。

薩摩弁の大山と英語の捨松が意を通じ合わせるため、通訳が入るのは笑わせどころだが、会津戦争の恩讐(おんしゅう)を超えるくだりは泣かせる。コンダーさんは直接的に登場しないものの、日本文化のよき理解者だとわかってくる。

前半は言葉遊びが多く話が進まない。史実と違うウソもあるが、歴史を歪曲(わいきょく)するものでなければぎりぎり許されるだろう。27日まで、明治座。

(文化部 河野孝)

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