難易度高い食道がん手術 大学・専門病院に高評価日経実力病院調査2013

年間約2万人が罹患し、1万人以上が亡くなっている食道がん。食道は体の中心部にあり、肺や心臓、大動脈などに囲まれているため、外科手術の中でも難しい。日本経済新聞社が公開データを基に実施した「日経実力病院調査」で上位に入った病院は大学病院やがん治療の専門病院など人材や器具など環境の整った病院が占めた。患者の負担が少ない手術法も増えているほか、抗がん剤や放射線を組み合わせた効果的な治療法も広がっている。

食道は喉と胃の間をつなぐ長さ25センチ、太さ2、3センチの管状の単純な臓器だ。だが上部は気管と背骨の間にあり、下部は心臓と大動脈、肺など主要な臓器に囲まれている。発声や飲み込む機能に関係する神経なども集まる。国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の大幸宏幸食道外科長は「他の臓器などを傷つけかねない恐怖感にさらされながら手術をしなければならない」と難しさを説明する。

患者の体力考慮

手術するかどうかは「がんの進行度と患者の体の状態で判断する」(大幸外科長)という。食事の際に胸の辺りがしみたり、異物感を覚えるような早期がんの場合、食道の周囲を覆うリンパ節への転移がなく食道の粘膜内にとどまっていることが多く、口から内視鏡を入れて切除することができる。

国立がん研究センター東病院の食道がん切除手術(千葉県柏市)

胸のつかえ感や喉の通りの悪さを感じるなど、ある程度がんが大きな場合、食道の切除手術をし、胃をのどまで持ち上げるなどして食道を再建する方法をとる。胸や腹部の広範囲を切開する手術の場合は「患者の体力が手術に耐えられるかということも条件の一つ」(大幸外科長)という。

同病院は2012年4月から13年3月までに内視鏡切除を含めて手術を受けて退院した患者が372例で全国最多。開胸・開腹手術の場合は通常7時間ほどかかるが、執刀医と助手の分担を明確にしたことで4時間程度で済むという。3%程度とされる手術死亡率も1%以下と低い。

都立駒込病院(東京・文京)は手術の患者数(238例)が全国4位。ほとんどの手術前に抗がん剤を投与するなどの治療法を取り入れているという。術前のコンピューター断層撮影装置(CT)などによる画像診断では分からない小さながんをたたくだけでなく、がんを小さくしたり増殖を抑えたりすることができるからだ。出江洋介食道外科部長は「手術が難しいだけに、可能な治療法は全て取り入れる」という。