上手にできない人向けに柿崎教授が提案するのが床にあおむけになり、足を椅子などの高い場所にのせる方法。尻の下には座布団やクッションを敷き、両手は腹部に置く。この体勢なら「内臓と横隔膜が一緒に動く様子が分かり、自然と深い呼吸になる」(柿崎教授)。

この練習法をほぼ毎日やって、みぞおち周辺の筋肉に力みが出ないで息を吐けるようになれば合格で、椅子でもうまく腹式呼吸ができるようになるという。筒に込めた矢を吹いて的に命中させる「吹き矢」なども腹式呼吸を身につけるのに向いている。

疲れを感じたりストレスがたまったりした際にこの呼吸法を実践すれば、効果が期待できる。昭和大学病院の大西司准教授は「夜寝る前や起床時なら横になったままでもよい。手軽に心身をリフレッシュしやすい」と勧める。

ただし注意点もある。無理に息を吐き出そうとすると気分が悪くなるケースがある。また、猫背のように丸まった姿勢で呼吸をすると、横隔膜が十分に働かず、腹が圧迫されて胸式呼吸になりやすくなる。

ふだんから鼻で息を吸うよう心がけることも大切だ。口呼吸では浅く速い呼吸になりやすく、喉の粘膜が乾燥して細菌が侵入する危険も高まるからだ。鼻呼吸なら空気中のほこりや細菌などの侵入を防ぐとともに、湿度や温度の調節にもよい。

腹式呼吸は座禅などの基本にもなっている。心の安定などにつながるので挑戦してみるのもよいかもしれない。「呼吸は身体バランスと密接に関連している。もっと呼吸法に注目してほしい」と柿崎教授は強調している。

(山口成幸)

ひとくちガイド
《本》
◆体によい呼吸法のポイントを知るには
 「いのちの力を高める 9つの呼吸法」(打越暁著、文芸社)
《インターネット》
◆腹式呼吸の方法を説明
 公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター「ストレス解消法(呼吸法)」
 (http://www.phrf.jp/ssl/stress/method/m01.html)

[日本経済新聞朝刊2014年1月5日付]

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