ゆっくり・深く 腹式呼吸法で心も体も健康に免疫力向上も

年が改まり、心新たに物事に打ち込むと決めた人も多いだろう。目標達成に欠かせないのが健康で、呼吸法はその基本だ。深い呼吸、腹式呼吸などがよいという話はよく耳にするが、正しく実践するためのコツを探ってみた。

人間はふだん特に意識せずに息をしているが、鼻や口から空気を吸って酸素を体に取り込み、二酸化炭素(CO2)をはき出すのが呼吸だ。個人差があるものの、無意識でしている呼吸は平均すると1分間に15回程度。寝ている間も含めて1日では約2万回、人生を80年とすると一生では約6億回、呼吸する計算になる。

■腹部の血流改善 排便スムーズに

呼吸を担う臓器である肺は心臓などと異なり、スポンジ状のため自力では動かせない。周囲の筋肉が一緒に動き、呼吸をしている。その中で特に重要なのが、ドームの形をした筋肉である横隔膜の働きだ。

息を吸うときは横隔膜が下がって、内臓に圧力がかかり腹が膨らむような形になる。息を吐くときは内臓が横隔膜を上に押し上げる。これに適した呼吸法が、腹を膨らませたりへこませたりする「腹式」だ。胸を大きく広げて息を吸う胸式呼吸に比べ、横隔膜が上下しやすいという。

打越メディカルクリニック(横浜市)の打越暁院長は「特に息を吐くことを重視しながら腹式呼吸で深くゆっくりと呼吸すると、自律神経のバランスを整える効果が得られる」と指摘する。この結果、脳内で気持ちを落ち着かせる物質の分泌が促され、精神の安定につながる。自律神経の一つである副交感神経にはリンパ球を増やす作用があり、病原体から身を守る免疫力を高める作用も期待できるという。

腹式呼吸の利点はそれだけではない。腹部の血液の流れや排便の調子もよくする効果も見込める。一方、速いペースで呼吸すると、体内の酸素や二酸化炭素のバランスが崩れ、筋肉の硬直、しびれなどの影響が出る恐れがある。文京学院大学の柿崎藤泰教授は「速いペースの呼吸は急発進と急ブレーキを繰り返す車のようなものだ」と話す。

■「吹き矢」など効果

では、どうやれば腹式で深くてゆっくりとした呼吸が身につくのだろうか。ふだん胸式で呼吸している人も多いので、腹式のコツをつかむ練習をするとよい。落ち着ける場所で椅子に座ってやる。まず腹を膨らませて鼻から深く息を吸う。次に約10秒かけてゆっくりと鼻から出す。すぼめた口から吐いても構わない。