ライフコラム

エコノ探偵団

なぜ今、カジノ? プラス面とマイナス面を検証

2013/12/10 日本経済新聞 プラスワン

「最近、国内でカジノを誘致しようという記事を見かけるがどうしてじゃ」。探偵事務所で茶をすすっていた神田のご隠居、古石鉄之介が疑問を投げかけた。「気になりますね。狙いはなんでしょう」と、探偵、松田章司が調査に出た。

■訪日客上積みを期待

章司は調べ始めると、自民党など超党派の国会議員らが、カジノを条件付きで解禁する法律の実現を目指していることがわかった。

これまでも有力政治家らの提案でたびたびカジノ構想は話題になったが、法整備までは進まなかった。今回は2020年に開かれる東京五輪に向けて、改めて構想が盛り上がっているという。そもそも日本では競馬、競輪など公営ギャンブルはあるが、刑法で賭博は禁じられてきた。

「カジノをつくるメリットは何かな」。章司の疑問にゴールドマン・サックス証券の杉山賢さん(25)が答えた。「日本を訪れる海外客を増やすためですよ。単純なギャンブル振興策ではありません」

政府は日本を訪れる海外客を20年までに2千万人に増やす目標を掲げる。集客の目玉としてカジノを併設した「統合型リゾート(IR)」計画も浮上。この施設には「MICE(マイス)」と呼ばれる国際会議や学会、展示会などを開ける大型施設、ホテルや劇場、ショッピングモールを集める計画なのだそうだ。

施設を新設すれば建設投資が促されるほか、観光消費が活発になり、雇用や税収も生まれる。国内各地で新たな地域振興策としてカジノ誘致への期待が高まっている。

章司が有力候補地の一つとされる東京都に問い合わせると、「10年以上前から構想があり、今回は五輪開催が決まり実現の機運が高まっています」(知事本局)との反応が返ってきた。複数の民間企業が夜間の娯楽を充実させるため計画を練っているようだ。

地方でも、たとえば北海道では釧路、小樽、苫小牧といった道内3市が誘致に名乗りを上げており、「道内にふさわしいカジノのあり方を検討しています」(道観光局)。沖縄県でもカジノを含む「沖縄統合リゾートモデル」の研究を続けているという。

章司は事務所に戻り「観光客や雇用など地域の期待も大きいです」と報告した。「それなら経済効果や海外の事例をもっと調べてみたらどうだ」と所長が宿題を出した。

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