洋風なのに脱メタボ食 「地中海食」の取り入れ方和食より先に無形文化遺産に

もうひとつのポイントは、オリーブ油をふんだんに使う点だ。オリーブ油は他の植物性油に比べてオレイン酸が豊富。オレイン酸は、生活習慣病の原因となるいわゆる悪玉コレステロールを減らす効果がある。

一般的な植物性油に比較的多く含まれるリノール酸にも悪玉コレステロールを減らす効果はあるが、同時に善玉コレステロールも減らしてしまうのが欠点だ。

地中海食に詳しいオリーヴァ内科クリニック(東京都世田谷区)の院長、横山淳一さんは「オリーブ油を使って各食材のうま味を引き出すのが地中海食の特徴」と説く。

■和食との融合も

では、実際に地中海食を毎日の食事に取り入れるには、どうすればよいか。

イタリアオリーブオイル協会が認定するオリーブオイルソムリエで料理研究家の片幸子さんは「オリーブ油の最大の特徴は風味と香り。サラダに塩とオリーブ油をかけるだけでおいしいし、温野菜にかけてもいい」と提案する。いため物や、魚のパン粉焼き、カツレツなどの揚げ物にもおすすめという。

穀物や豆類、野菜、魚を多く摂取する地中海食は、実は、和食との共通点も多い。そこに着目した松生(まついけ)クリニック(東京都立川市)の院長、松生恒夫さんは「地中海式和食」を患者にすすめている。

消化器系疾患が専門の松生さんは、地中海食は「大腸がんなどの予防にも効果的」と指摘する。

著書で紹介している地中海式和食は、肉ジャガにトマトを加えた「トマト肉ジャガ」や、豆腐の代わりにヨーグルトとカッテージチーズを使った「そら豆のチーズ白和え」といったユニークな料理から、納豆や豆腐にオリーブ油をかけるだけの簡単レシピまで、実に多彩だ。松生さんは「ちょっと工夫すれば、洋食が苦手な人でも地中海食を実践しやすいはず」と話す。

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楽しむ食事、ストレス予防に

地中海食は、広くとらえれば、単に食材の話にとどまらない。「地中海食を効果的なものにするには、食事の仕方も大切」(ウェルネスササキクリニックの佐々木さん)

地中海地域は、土地の伝統的な食生活や食材を見直す運動「スローフード」の発祥の地でもある。時間に追われる現代でも、食事は必ず、家族や友人らとワイングラスを片手に楽しくおしゃべりしながら時間をかけてとるという人も多い。赤ワインにはポリフェノールに代表される抗酸化物質が多く含まれ、動脈硬化の予防につながる。

そうした昔ながらの食事のスタイルを今なお維持していることが、地中海食が無形文化遺産に選ばれた理由でもある。佐々木さんは「リラックスした気持ちで食事をする地中会食はストレス予防効果もある」と話す。

(ライター 猪瀬 聖)

[日経プラスワン2013年12月7日付]

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