自分に合う色で好印象 カラーコーディネート入門
「仕事柄、自宅のワードローブの中身は黒やグレー系のものが多い。黒系なら体形も締まって見えるから」。東京都在住の会社員の女性(42)はそう話す。気付くと自分の好きな色の服を選びがちで「色使いで冒険はしない」と明かす。
「自分に似合う色を身につけると、肌に透明感が出て、生き生きして見える」と、パーソナルイメージコンサルタントの飯野未季さんは話す。逆に似合わない色は肌がくすみ、実年齢よりも老けて見える場合もある。
本来の自分の魅力を引き出さないのはもったいない。カラーコーディネートは簡単にできる「自分改造法」だ。
好きな色と似合う色とが同じという人は、ごくまれだという。「どんなに好きな色でも、髪や肌の色に対して(好きな色が)強すぎたり、弱すぎたりしたら、自分の印象がぼやけてしまう」
自分に合った色を探すには、まず肌や髪の色などとの調和が重要、と専門家は口をそろえる。飯野さんは特に髪の色を重視する。髪を染める女性が増えているからだ。
肌やヘアカラーの色は、青みがかって涼しげな「クール系」と、黄色みがかって暖かみのある「ウオーム系」の2つに大別できる。
自分の肌やヘアカラーの色がどちらか調べるには、まず食器棚から金色と銀色のスプーンを取り出す。鏡の前でそれらを耳元付近に当てて「金色のスプーンの方が自分の肌や髪に透明感が出る人はウオーム系、銀色の方がそうならクール系」と飯野さん。だれかに印象を聞いてみるのもいい。
一方、色にも明るめの色と暗めの色、鮮やかな色とくすんだ色がある。一般に似合う色は(1)肌がウオーム系で色白の人なら、明るい色や透明感のある鮮やかな色(2)ウオーム系で肌が小麦色の人なら、深みのある色や抑えた感じの中間色(3)肌がクール系で色白なら、パステル調の色やグレーがかった中間色(4)クール系で肌が小麦色なら、はっきりとした原色や濃く強い色――などだ。
「自分は赤は似合わない」などと決めつけている人もいる。ただ「似合う赤とそうでない赤がある。どんな色でもそれは同じ。赤なら赤で、自分に合ったものを探して歩く」(飯野さん)と、楽しさも増してくる。
顔周りに「差し色」を
会社勤めの女性などはどうしても無難な黒やグレーといった、ベーシックカラーが基調のコーディネートになりがちだ。そんなとき、きらりと個性を光らせるなら「差し色」をするといい。
「ベーシックカラーが7割前後としたら、3割前後は有彩色を使うといい」。伊勢丹新宿本店(東京都新宿区)のカラーアナリスト、長岡幸恵さんはこう助言する。
その際、自分に似合う色はなるべく顔の近くに持ってくる。色が肌に反射し、表情が一段と映えて見えるからだ。例えばグレーのスーツなら、ブラウスなどのインナーを自分に合った色にする。
服装に明るい色を取り入れるのが難しければ、小物類を明るい色にする。バッグやカラーグローブ(手袋)などだ。
色使いは季節によっても違う。冬は紺や黒など暗めの色調が多くなりがち。オフホワイトなど白系や、赤、緑などのクリスマスカラーをアクセントに使うのがお勧めだ。
自分に合う色がわかっても、実際に身につけるには勇気が必要な人もいるだろう。そんなときは「ストールなどで試すといい」と飯野さん。「印象がどう変わるか、ぜひ確認して自信をつけて」
(編集委員 堀威彦)
[日経プラスワン2013年11月30日付]
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