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エコノ探偵団

休暇は取りやすくなったか 多様な制度で取得促す

2013/11/26 日本経済新聞 プラスワン

「就職内定先で先輩社員に有給休暇はいつでも取れると聞いたのですが本当ですか?」。知り合いの大学生から相談された探偵の松田章司は、「日本人は休まないと聞いたことがあるけど、最近は変わってきているのかな?」と調査を始めた。

章司が厚生労働省の就労条件総合調査を調べてみると、2012年の有休取得率は47.1%で3年ぶりに低下した。政府目標の70%からはほど遠い水準にとどまっている。

「使い残してしまうのはどうしてだろう」。章司は、労働政策研究・研修機構(JILPT)を訪ねた。正社員3千人への調査で、有休を取り残す理由で一番多いのは「病気や急な用事のために残しておく必要がある」という回答だった。調査・解析部次長の郡司正人さん(52)は「自分や家族の病気のときに使える別の制度を充実させる企業もあります。そうなれば、有休は取得しやすくなりますね」と話す。そのほかの理由は「他の人に迷惑をかける」「休んでいる余裕がない」など職場要因が多かった。

「我が社はお金で取得を促進していますよ」。話しかけてきたのはリクルートキャリア(東京都千代田区)人事総務部の樋口晴将さん(37)。同社には1人当たり年1回、4日以上連続で有休を取得すると5万円が支給される制度がある。長時間労働を是正し、メリハリを付けて仕事に向かってもらうことが目的だ。現在95%の社員がこの制度を使っており「休むのはお互いさまとの意識が醸成されたと思います」と樋口さん。

「お金を渡してまで休んでもらうなんて企業はずいぶん力を入れているんだな」と章司が感心していると、観光庁観光資源課の星野晃宏さん(28)が「国としても休暇取得を推進しているんですよ」と、様々な企業の休暇に関する取り組みをまとめた冊子を差し出した。同庁は政府の観光立国推進基本計画を受けて、他省庁と「ポジティブ・オフ」という取り組みを実施している。企業に、社員が休みやすくする工夫を推奨するもので、リコーや高島屋など360企業が賛同している。

国としては旅行などの増加による経済活性化を狙っているが「賛同企業は適切な休息による生産性向上や、心の病の予防なども見込んでいるようです」と星野さん。

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