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エコノ探偵団

単身赴任者なぜ増える? 60歳以上10年で2倍に

2013/11/19 日本経済新聞 プラスワン

「夫は福岡に単身赴任よ。私は仕事辞めたくないし。そんな同僚が多くなっているわ」。新婚の同級生の言葉に、探偵、深津明日香が反応した。「知り合いの父親も海外転勤中だわ。単身赴任が増えているのかな。事情を調べてみましょう」

明日香がまず総務省で単身赴任者とみなされるデータを調べると、2012年に99万人と10年前に比べて約2割増えていた。企業などで働く雇用者50人に1人が単身赴任中という計算になる。事務職や営業マンらが多く、女性も約2割を占めるようになった。

「会社はなぜ家族と離れさせるのかしら」。明日香が人事・労務に詳しい一般財団法人の労務行政研究所(東京都港区)を訪ねると、上級専門職の田中加代子さんが「会社が転勤を命じますが、社員は何らかの事情で単身赴任を選ぶのでしょう」と応じた。

■「数年なら」 シニア意欲

同研究所が上場企業クラスを対象に調べたところ、約9割の会社で単身赴任者がいた。育児・介護をしていれば本人の意向を聞くなど配慮する会社も少なくないが、原則として会社の都合で転勤を決めるところが約8割に上る。

ただ大半の会社では社員が家族帯同と単身赴任を選べる制度がある。単身赴任すれば、9割の会社が別居手当や月1~2回ほどの帰宅交通費を支給している。単身赴任者が急増し、社会の関心が集まった10~20年前に制度を整えた会社が多く、「支援が手厚くなって単身赴任しやすくなったのでしょう」と田中さん。

「なぜ単身赴任を選ぶのかな」。明日香の疑問に、アートコーポレーションthe0123引越文化研究所の研究員、森岡光明さん(48)が「教育や介護など家族のために選択する人が多いですよ」と解説を始めた。同研究所のアンケートでは、単身赴任の理由として「子供の転校を避けた」という回答が3分の1と最多だった。私立小中高校では転校費用がかさみがちで、転校後の友人関係で悩むケースも無視できないという。

介護や共働きといった家族の事情がネックになることも少なくない。働く世代では女性の就業率が6割を超え、共働きの世帯数は約15年前から専業主婦世帯を上回っている。「当社のアート引越センターが取り扱う引っ越しを見ても、単身赴任が増えていると実感します」と森岡さん。

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