ライフコラム

エコノ探偵団

国の借金1000兆円に 消費税何%にしたら減らせる?

2013/11/12 日本経済新聞 プラスワン

「日本の国の借金が1千兆円になったという記事を読みました。消費税が上がれば減らせるのですか」と来春就職を控えた大学生が事務所で疑問を投げかけた。「確かに不安ですね。調べてみましょう」と探偵、松田章司が街へ飛び出した。

■消費増税8%では困難

物価連動国債の入札開始を告げる財務省職員(10月8日)

章司が財務省のデータを調べると、今年6月末時点の国の借金は1千兆円を超えていた。単純計算で国民1人当たり約792万円の借金を抱えていることになる。

「なぜそんなに増えたんだろう」。章司が首をかしげると、みずほ証券チーフファイナンシャルアナリストの柴崎健さん(46)が声をかけた。「バブル崩壊後の長期にわたる景気低迷で税収が減る一方で、高齢化で社会保障費が増え続けたのが原因です」

国の支出は年間約90兆円で、この20年で約20兆円増えた。中でも社会保障費の増加が著しい。お年寄りが増えたため、年金や医療に使うお金を働く世代が納める保険料で賄えなくなり、国の予算が年30兆円程度を負担している。

これに対し、国の税収は約40兆円にとどまる。最も大きい所得税は91年の約27兆円に比べほぼ半減した。過去の消費増税の時に合わせて減税したうえ、経済の低迷で国民の収入自体が減ってしまったからだ。企業にかける法人税も、収益悪化でピーク時のほぼ半分に落ち込んだ。税収では不足する財政を借金でやり繰りするうちに、残高がどんどん積み上がったらしい。

「でも来年4月から消費税を5%から8%へと3%分も上げるのだから、これから減っていきますよね」。章司が聞くと、柴崎さんは首を振った。「今回の消費増税も、増えた税収の大半は財政赤字の穴埋めに消えます」。消費増税で税収は毎年8兆円増える見込みだが、年金の財源不足や高齢化による医療・介護費の自然増を賄うのに充てると、ほとんど残らないという。

章司が事務所に戻って中間報告すると、所長が「借金が減る条件は何だ」と宿題を出した。章司は財政に詳しい上智大学准教授の中里透(47)さんに聞くことにした。

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