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睡眠の悩み5人に1人 専門外来の新設増える 診療科超え連携 厚労省も指針改訂へ

2013/11/8 日本経済新聞 夕刊

日本睡眠学会認定の専門医療機関は95施設。10年前に比べ5倍に増えたとはいえ、同学会の伊藤洋理事長は「高齢化が進む中、睡眠障害を専門としない医師にも症例や治療法を伝える仕組み作りが必要」と話す。

厚労省が中高生を対象にしたインターネットの使用実態調査では、スマートフォンの夜間使用で睡眠に悩みを訴えるケースが目立ち、若い世代に睡眠障害が広がる恐れも。国民病ともいわれる中、厚労省は、03年作成の「睡眠指針」の見直し作業を始めた。睡眠に関する最新情報を収集し、快適な睡眠法など健康づくりに役立ててもらう。

人が眠くなる仕組みは、脳を積極的に休ませる機能を担う視床下部にある睡眠の中枢と、夜になると全身を休息状態にする体内時計の機能が働くことで調節される。とはいえ睡眠が起こるメカニズムは完全には解明されておらず、睡眠障害の解消に向けた研究成果に期待が高まる。

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■薬に頼り過ぎず 生活習慣見直し

睡眠に何らかの問題を抱える人は、まずは睡眠薬を使うのが一般的だ。効き目は個人差があり、厚生労働省は6月、睡眠薬を適切に使い、不眠症を治療し、上手にやめるための診療指針を初めてつくった。

国立精神・神経医療研究センター(東京)によると、成人が睡眠薬を少なくとも1カ月に1回処方を受けた割合は3.5%。2005年の2.6%から増加傾向だ。日本大学板橋病院の内山真教授によると、日本を含む先進国では日常生活に支障をきたす睡眠障害はおおむね10人に1人で、うち半数が睡眠薬を使っている。

不眠症で一般的に使われる睡眠薬は、睡眠を起こす中枢に作用し脳の働きを鎮めて眠りを誘う「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」。体内時計に働き、睡眠のリズムを整え不眠症を治す「メラトニン受容体作動薬」もある。

内山教授は、不眠症の初期治療では生活習慣改善の指導とともに、可能な限り睡眠薬は1種類にとどめる必要があると指摘する。睡眠薬を長期間、漫然と服用し、やめにくくなるケースも少なくない。

このため、厚労省の診療指針では睡眠薬の種類や使用法などを解説。睡眠薬に頼り過ぎず、生活習慣を見直す必要性などを強調する。眠くなれば就床、朝は決まった時刻に起床する。7時間以上寝床で過ごさないことなどを心がけてはみてはいかがだろう。

(高畑公彦、村上徒紀郎)

睡眠障害 睡眠に何らかの問題が生じる様々な病気の総称。不眠症や睡眠時無呼吸症候群(SAS)以外に、夜眠っているのに日中眠たい過眠症、レストレスレッグス症候群を含む睡眠関連運動障害などがある。厚生労働省によると、2011年の睡眠障害の患者は1999年の2.5倍の約38万人。不眠症が最も多く、約1.7倍の約24万6千人。SAS患者は約25倍増の12万4千人に上った。国民生活基礎調査で「眠れない」と訴えた人も約376万人に上る。

[日本経済新聞夕刊2013年11月7日付]

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