足のむくみ簡単ケアで解消 対策グッズも花盛り
マッサージで血行促進
「立ち仕事が多いと、足がむくみやすくて」。東京・白金台のレストラン、ビストロシューのオーナー、三和由香利さんの日課は帰宅後のマッサージだ。風呂上がりにテレビを見ながら、足指をほぐしたり、足首から太ももまでなで上げたり。特に膝の裏や、足の付け根部分を押して「リンパの流れを良くすると、翌朝すっきりした足になる」。
女性に多いむくみ。特に寒くなると悩む人が増える。
足専門のクリニック、足の診療所(東京都港区)で血管外科全般を担当する東田隆治医師によると、むくみの正体は皮膚の下に「水分が過度にたまった状態」のこと。成人の体の6割は水分でできている。水分を取りすぎたり、冷えて血行などが悪くなったりすると、重力もあり下半身に余計な水分が滞りやすい。
同診療所でむくみの症状を訴える7~8割が女性だ。事務、受付業務、レストランの調理担当など「立ちっぱなし、座りっぱなしなど、同じ姿勢を長時間続ける職種の人に多い」。
男性よりも、女性に悩む人が多い理由として、東田さんは「女性の多くが足の太さを気にするため、という側面もある」と話す。
むくみを解消するグッズ類も花盛りだ。東急ハンズ渋谷店(東京都渋谷区)には50種類以上の対策グッズがずらり。売れ筋は太ももやふくらはぎなど疲れた部分の上をコロコロと転がすボディーローラーや、足首やふくらはぎなどに圧力をかけて血行を促す着圧ソックスなどだ。
女子高生から50、60代まで顧客層は幅広く「秋冬は皮膚の保湿にもなるマッサージクリームを併用する人が多い」(渋谷店の田中優里さん)。同店のむくみ解消グッズは、前年の同じ時期と比べて、商品数で1割ほど、売上高で2割ほど伸びている。
秋はタイツや靴下、ブーツなど足元のおしゃれが増える。余分な水分、老廃物がたまったパンパンの状態はその日のうちに対処して、ほっそりした足で秋のファッションを着こなしたい。
お酒・塩分は控えめに
足のむくみを解消するにはどうすればいいのだろうか。マッサージ法としては「足首からふくらはぎ、太ももから足の付け根に向けて、優しくなで上げていく」(東田さん)とよい。リンパ液の流れを改善すると、老廃物の排出を促し、足の疲れの解消にもつながる。
会社や自宅など、日常のちょっとした心掛けで予防もできる。会社ではデスクの下で時折、靴を脱ぎ、足指を広げ「グー、チョキ、パー」としてみよう。帰宅後、入浴時には、ふくらはぎから下の足にお湯と水を交互にあてる。就寝時に枕やクッションの上に足を乗せて高くすると、下半身にたまった水分が心臓に戻りやすくなる。
食生活がむくみの原因になることもある。塩辛いものを食べたり、お酒を飲み過ぎたりした翌朝、まぶたや足がパンパンにふくらんだ経験のある人は多いだろう。
「塩分やアルコールの取りすぎは大敵」(女子栄養大学栄養クリニックの蒲池桂子教授)。塩分を取りすぎると、体内の塩分濃度を下げるために、体が水分をため込みやすくなる。
むくみ解消に効果的な食材は、塩分の排せつを助けるカリウムが豊富な野菜だ。1食あたりの目安として、海藻、キノコ、旬の野菜など「温野菜なら片手でグー、生野菜なら両手を器にして収まるくらい」(蒲池さん)をとる。
血流を支える筋肉を作るために、肉や魚、豆腐などのたんぱく質も「手のひらにちょうどのる分量(50~60グラム)」を目標に、毎食取り入れたい。味付けは薄めにするか、酢やだしなどうまみを加えて減塩を心掛けよう。
一過性のむくみは、夜眠ることでだいたいは改善する。ただ全身がむくんだり、むくみ方に急な変化がある場合は、心不全などの心臓障害や、腎機能障害など重大な病気が原因のこともあるので、早めの受診が大切だ。
(佐々木たくみ)
[日経プラスワン2013年10月19日付]
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