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健康づくり

ささやき声はNG 声帯を痛めない正しい話し方 ボイスセラピーで心も体も健康に

2013/10/17 日本経済新聞 朝刊

大声を出して声帯を痛めたり、年を重ねて声がかすれたりしても、適切な音声治療や訓練で声の若さをある程度取り戻せる。これまでの研究で、健康維持や前向きな気分を高めるなどの効果も分かってきた。

「息を思い切り吸って」「吐きながら声を出して」。川崎市教育文化会館で月2回、開かれるボイストレーニングには高齢者を中心に約50人が参加する。1時間半、腹式呼吸をしながら発声の訓練をすると体中がぽかぽかと温まり、かなりの汗をかく。スポーツをした後のようだ。

■力まず息に載せる

ボイストレーニングは健康を維持したい高齢者に人気(川崎市教育文化会館)

呼吸しながら様々なリズムで低音から高音まで、時には裏声も出す。講師を務めるタフカンパニー(東京・港)の藤森淳一社長によると、1回の参加でエアロビクスの上級コースと同程度のカロリーを消費する。血行が改善し体調がよくなると感じる人が多い。

数年前から欠かさず参加している斉藤記代さん(65)は「姿勢がよくなり腰痛がなくなったほか、体重も減った」と喜ぶ。松原英子さん(78)も「眠気が吹き飛んですっきりするし、食事もおいしくなる」と手応えを感じている。

力んで無理に大声を出してはいけない。声帯を痛めるだけだ。袋を膨らませるように腹に息を吸い込むと横隔膜の位置が下がり、肺の容量が増える。吐き出す時に息に載せるようにして声を出す。高音を出す時には上を向きがちだが、これでは声帯に余計な力がかかる。あごを引き正面を向いた方がよい。

声がかすれてうまく出ない時は、声帯結節などの病気かもしれない。授業で声をからしがちな教師などがかかりやすい。高齢者は年齢とともに声帯にしわができる老人性嗄声(させい)と呼ぶ症状が出る場合も多い。かすれ声は精神的なストレスの原因にもなる。

「何度も聞き返されるとめげてしまい、積極的に発言できず引きこもりになる可能性もある」と県立広島大学の城本修教授は指摘する。声帯の病気などを発声法の工夫で治療する「ボイスセラピー」を日ごろから実践すれば、こうした事態の予防にもなる。「声の若さを保つことは積極的な社会参加につながる」と城本教授はみる。

国際医療福祉大学の渡邊雄介・東京ボイスセンター長は「声帯は気管に食べ物が誤って入る誤嚥(ごえん)を防ぐシャッターの役割もする」と指摘する。ボイスセラピーによって声帯の状態を良好に保つとよいという。

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