通勤電車・昼休み… スマホで手軽に映画三昧
配信アプリ、定額で見放題も
9月下旬のある日、横浜の職場で仕事を終えた会社員の古橋彩奈さん(27)は足早に帰路についた。電車に乗り込むやいなやポケットから取り出したのは米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」。動画配信アプリを立ち上げ、職場から自宅までの約1時間、お気に入りの海外ドラマ「ゴシップガール」を楽しんだ。
海外ドラマも豊富
古橋さんが愛用しているのは、月額980円で約1万本の中から見たい作品を選べる「Hulu」(フールー)。海外ドラマが豊富なうえ、「何本見ても同じ値段」というシンプルな料金体系も気に入っている。
「Hulu」は米動画配信大手。2007年に設立、日本では11年にサービスを始めた。日本の利用者数は未公表だが、米国の有料会員は400万人を超える。独自のラインアップが特徴で、フールージャパンのマネージング・ディレクター、バディ・マリーニ氏は「作品の質にこだわっている」と話す。
世界の映像配信会社から直接作品を買い付ける。英国放送協会(BBC)と契約して独占配信したドラマ「Misfits」(ミスフィッツ)は「5月の視聴回数で首位だった」(マリーニ氏)。9月には東宝とも契約し、「世界の中心で、愛をさけぶ」など20作品を加えた。
「新作の映画をいち早く楽しみたい」という人におすすめなのが「TSUTAYA TV」。4万本を超えるタイトルのうち新作は1万本。店頭で借りるのと同じように、期間内なら最新の映画やテレビドラマがスマホで楽しめるのが特徴だ。
映画の新作は1本200円からで、一度ダウンロードすると期限までは電波の届かない場所でも楽しめる。旧作は1本100円からでテレビドラマは1本100円から。月20本まで定額980円で楽しめるコースもある。
多くの作品が日本語の吹き替えに対応しており、字幕を追うのが苦手な人にもおすすめ。「子供と映画を見ている保護者からも好評」(TSUTAYA.com事業本部)という。
現在は米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」端末のみに対応しているが、今冬にも米アップルの基本ソフト「iOS」を使うiPhoneやiPad(アイパッド)にも対応する予定だという。
英語学習に活用
映画を通じて英語を学べるのがソースネクストの「超字幕」だ。配信するすべての作品に日本語と英語の字幕がついており、セリフごとの巻き戻しもボタン一つですぐできる。
アプリ内に辞書を内蔵しており、英単語を簡単に調べられる機能があるのも便利だ。青谷征夫執行役員は「洋画で英語を学びたいという方には、ぜひ試してみてほしい」と話す。販売はダウンロードのみで、1本1200円の買い切りだ。
NTTドコモなど通信大手3社も、スマホ向けの動画配信サービスを競い合っている。月額500~600円と料金は比較的手が届きやすく、新作などの利用はやや制限があるようだ。
ドコモのサービス「dビデオ」はこれまでアンドロイド端末向けだけだったが、iPhoneでも10月10日中に視聴できるようになる予定。KDDIやソフトバンクが出資するUULAも同様のサービスに力を入れている。
もちろん、歩きながらの視聴はご法度。電車の中など周りに人がいるときは、音漏れなどに注意しよう。
秋の夜長に鑑賞に夢中になって、翌朝うっかり遅刻――なんてことがないように、すきま時間に賢くアプリを使って新作・名作を楽しんでみてはいかがだろうか。
(証券部 三島大地)
[日本経済新聞夕刊2013年10月10日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。