五輪景気いいことばかり? 負の遺産残る恐れも

2013/10/1
「50年近く前の感動がよみがえるのう」。2度目の東京五輪開催の報を聞いた神田のご隠居、古石鉄之介が探偵事務所で茶をすすった。すると所長が「五輪の効果は本当にいいことだけか」と、探偵の松田章司と深津明日香に調査を命じた。

経済効果は3~10兆円

章司はまず、2020年夏季五輪を招致した東京都のスポーツ振興局を訪ねた。招致推進部の高橋正和さんに聞くと「競技会場がコンパクトに集まった大会になります」と答えた。今ある施設や社会基盤を有効に使い、選手村から8キロメートル圏内に多くの関連施設を収める計画。建設投資を約4千億円に抑える方針だ。12年のロンドン(約1兆3500億円、民間調べ)や08年の北京(約4兆4800億円、同)よりもはるかに少ない。

大会期間中の来場者は延べ約一千万人に達する見通しで、1日当たりで最大92万人が訪れる。海外からの観光客も大幅に増え、ホテルやレストランは混雑が続くとみられている。高橋さんは「堅めに見積もっても経済効果は3兆円近くに上ります」という。

都の試算は「五輪開催に伴う経済への影響」を調べたものだ。例えば建設工事が増えると、鋼材やコンクリートの新たな需要が生まれる。鋼材を作るにも鉄鉱石や石炭、エネルギーが必要だ。外国人観光客にも土産用に日本製の家電製品が売れるなどの効果が見込める。建設や製造、観光で働く人の所得が増えれば、それが再び国内消費に回る。それらをすべて足し合わせて経済効果を出したのだ。

そこに大和証券の木野内栄治さんが「それだけでは実感として不十分です」と声をかけてきた。7年間で3兆円の経済効果は、平均すると1年当たり約4千億円。日本の経済規模に比べてあまりに小さいと指摘。これまでの開催都市をみると、施設建設費は計画時の数倍に膨らむことが多いという。「資材費や人件費などの高騰で、予算内に収まらない恐れがあります」

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大会後は減速、前の五輪後は“昭和40年不況”