ファーやブーツはNG 結婚披露宴の服装マナー
時間帯や格式で違い
「20代の時に着ていたフリフリの洋服はもう着られないし、何を着ようか迷った」と話すのは、最近、高校時代の友人の結婚披露宴に出席した関戸恵理子さん(32)。
個人のスタイリングを手伝うパーソナルスタイリストの三好凜佳さんは「結婚式や披露宴に着ていく服について相談を受けることは多い」と話す。会場や規模、出席者の構成で変えなければならない「難易度の高いファッション」(三好さん)だからだ。
「最近はくだけた服装の人も多いが、新郎新婦にとっては人生の特別な一日。失礼のない装いで行くのがマナー」と結婚ジャーナリストのひぐちまりさんは指摘する。年齢を重ねると会社の部下に招待されることもある。立場に応じた正しい知識も必要だ。
ホテルや専用式場以外に、最近ではレストランやガーデンも増え、会場のタイプだけではどの程度格式張ったものなのか判断しにくい。「迷った時は新郎新婦に聞く。会社関係者や親戚の参列者が多い場合はフォーマル度が高いと思って」とひぐちさんは助言する。
フォーマルな場では原則、無地のワンピースを着る。プリント柄は避ける。色は花嫁のドレスとかぶる白色や白っぽいベージュは着ない。靴はヒールのあるパンプスを履く。バッグは小さい物を選ぶ。「バッグは小さいほど格式が高まる」(三好さん)。
時間帯が昼か夜かで気をつけるポイントが変わる。昼はワンピースが袖のないタイプであれば上着やショールで必ず肩を隠す。スカートはひざ丈が基本だ。アクセサリーはパールなど光りすぎないものを選ぶ。一方、夜は肩を出してもよい。ひざ丈でもよいが、丈が長いとよりフォーマルな装いになる。アクセサリーは光るものを選ぶ。
意外に知られていないが、首元や肩を飾るファーやブーツは結婚披露宴ではタブーだ。ワニや蛇の皮、ヒョウ柄などのプリントを使った小物類も、動物の殺生を連想させるのでハレの日にはそぐわない。
小物で明るい色使い
着物の場合は未婚・既婚にかかわらず、着るのは色留め袖や訪問着などだ。未婚の人は通常の振り袖や袖丈が短い中振り袖を着てもよい。着物は着付けやヘアセットが大変だが、「華やかなので新婦に喜ばれる」(ひぐちさん)という。
衣装は、できれば黒以外の色を選びたい。会場では新郎側は多くがダークスーツ。両家の家族は黒留め袖を着ていることが多い。新婦側まで黒いドレスばかりだと雰囲気がどんよりしてしまう。「明るい色のドレスを着ることで、2人の門出に花を添えられる」とひぐちさん。
実際「披露宴用に服を新調するときに無難に黒を選んでしまう人はとても多い」と、伊勢丹新宿店のカラーフォーマルショップの高野真弓さんは指摘する。
結婚式に招かれるたびに洋服を買うわけにはいかない。手持ちの黒い衣装を明るく見せるコツを高野さんに聞いた。雰囲気を手っ取り早く変えるには華やかな色のコサージュを付ける。「最近は若者向けのおしゃれな物がたくさん出ている」(高野さん)。ロングネックレスに付けるタイプや髪に付け替えられるものもあり便利だ。
肩を覆うショールはシャンパンベージュなど明るい色をはおり、バッグの色も合わせると全身のバランスがよくなる。ショールは肩にかけるだけでは老けて見えるので、後ろに結び目を持ってきたり、首に巻いたりしてアレンジを楽しもう。
三好さんは「10月はドレスを新調するよい機会」と話す。冠婚葬祭向けのフォーマルな売り場ではなく、普通の洋服売り場でもこの時期は各ブランドがおしゃれ着を多めに売り出していて、結婚披露宴に着ていけるような衣装を見つけやすいという。
つい黒色を選んでしまう人におすすめの色を三好さんに聞いた。控えめな印象ながら明るくなるのは紺。シンプルな形であれば、普段の食事会やデートでも着られるので1着あると便利だ。今年流行のロイヤルブルーは華やかでありながらきちんとした雰囲気も出せる。秋冬の結婚式ではボルドーや深い緑などを選ぶとしっくりくる。
結婚披露宴は昔の友人が集い、同窓会のような雰囲気になることが多い。また未婚者にとっては出会いのチャンスでもある。センスある装いで好感度を高めたい。
[日経プラスワン2013年9月28日付]
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