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脳の活性化、がん・メタボ予防… 「魚油」で健康に 上手な摂取の仕方は

2013/9/12 日本経済新聞 朝刊

サンマやブリ、サバ、戻りガツオなど魚のおいしい季節がやってくる。いずれも循環器疾患の予防や中性脂肪を正常値に保つなどの機能が注目され、体によいといわれる成分「魚油」を多く含んでいる。だが日本人の魚離れは止まらない。魚油に対する知識を深めて上手に摂取するコツを覚えたい。

「日本人は魚を中心とした日本食の良さをもっと認識し、積極的に食べるべきだ」。英インペリアル・カレッジ・ロンドン脳栄養化学研究所のマイケル・クロフォード所長は今年6月に来日した際に強調した。魚の脂肪(魚油)に豊富に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)が脳の働きと密接な関係を持つことをいち早く示した研究者で、日本人の食習慣に注目してきた。同所長が危惧するほど日本人の魚離れは進んでいる。

■認知症が改善

厚生労働省の2011年の国民健康・栄養調査では、10年前に比べて魚介類の摂取量は1日平均で102グラムから78グラムに減少。世代別で最も多く食べている60~69歳でも123グラムから97グラムに減った。

DHAやエイコサペンタエン酸(EPA)は海藻などを食べた魚類が体内で作り蓄積する。人体では合成されない必須脂肪酸だ。このため厚労省はDHAとEPAの合計で、1日あたり1グラム以上の摂取を推奨している。「(1日100グラム未満では)不足している人が多いはずだが、あまり自覚されていない」。栄養学などが専門の麻布大学の守口徹教授はこう指摘する。

EPAは1970年代から動脈硬化や心筋梗塞の予防効果について注目が集まり、研究が盛んになった。その後、DHAが脳に多く蓄積されることがわかり、認知・学習機能との関連を探る研究が、国内外で盛んになった。

女子栄養大学の鈴木平光教授らは千葉県茂原市の特別養護老人ホームの高齢者30人(平均年齢78歳)を対象に、DHA入り魚油カプセルを0.64~0.8グラムずつ半年間、毎日飲んでもらい、認知機能のスコアの変化を調べた。すると6割にあたる18人で数値が改善した。認知症22人のうちの12人と、健常者8人中6人で改善がみられたという。

鈴木教授によると、摂取量を増やすと脳の神経細胞の細胞膜の脂質の中でDHAの割合が増加。この結果、細胞膜が軟らかくなり神経伝達物質を放出しやすい状態になると考えられるという。ただし、この地域の人はもともと1日1回程度は魚を食べる習慣があり、「DHA摂取量のベースが高い状態に、魚油を加えたことで改善効果が出たのではないか」とみている。

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