介護保険って何? 費用膨らみ制度見直し

からすけ それならどうやって制度がうまくいくようにするの?

イチ子 少子化で日本の人口が減っていく中、介護費用の増加をそのままにしておいたら、認定された人すべてにサービスを提供できなくなるかもしれないわ。そこで国は、隣のおばあさんが受けている「要支援」サービスを介護保険から切り離(はな)すことを考えているの。要支援より重い「要介護」の人たちにサービスを絞(しぼ)ったらどうかという考えね。サービスを受けたときに自分で払う料金では、年金を多く支給されている人などには1割以上負担してもらおうという案もあるわ。

からすけ おばあさん、ヘルパーさんが来るのを楽しみにしているのに……。

イチ子 手助けがなくなるのではなくて、要支援の人たちへのサービスは住んでいる市区町村の仕事に移そうとしているのよ。ボランティアの人にも協力してもらい、費用を節約することも考えているみたい。ただ、地域によって取り組みに差があるから、本当に必要なサービスが全国に行き届(とど)くかどうか、心配な面もあるわ。

古代の律令制も困った人を救済

豊島岡女子学園中学高等学校の神谷正昌先生の話
人々をあわれむ「慈悲」、すべての人を平等に愛する「博愛(はくあい)」の考え方のもと、高齢者や生活に困(こま)った人を救済(きゅうさい)するしくみは古くからみられました。古代の律令制(りつりょうせい)においては、高齢者や障害者(しょうがいしゃ)にサポートする人をあてがっていましたし、おめでたい事や天災のときには食料などが支給されることもありました。奈良時代には、貧(まず)しい人たちを救済する「施薬院(せやくいん)」と呼ぶ施設が設置されていましたし、中世ヨーロッパにおいても貧民(ひんみん)救済は教会の役割(やくわり)でした。
法律にもとづく国の社会保障制度の起源(きげん)は、1601年のイギリスのエリザベス1世による救貧法にあるといわれています。18世紀後半におこった産業革命(さんぎょうかくめい)以後、その必要性はさらに高まりました。工業生産力が高まって物が豊かになる一方で、工場労働者が過酷(かこく)な状況(じょうきょう)におかれました。そこで、保険のしくみを使い、病気などで生活に困ったときなどに労働者を守る社会保障制度の充実が図られるようになります。これは、労働者の不満を抑(おさ)え、労働運動が高まるのを防ぐ目的もありました。
ニュースなテストの答え 問1=住んでいる市区町村、問2=2割弱

[日本経済新聞朝刊ニュースクール2013年8月24日付]