炎天下に外出したので、食欲が湧きにくい。食事はのどごしがよく、あっさりしたそうめんにしよう。キンキンに冷えたスポーツ飲料を飲めば熱中症予防になる。夜は冷たいビールがよい――。
こんな食生活を送っている人がいるかもしれないが、そこには肥満の危険が潜んでいる。そうめん2束を1人分として食べると、300キロカロリーを超える。2人前を食べ、おかずを加えると、1食で1000キロカロリーを超えることも。そうめんの多くは製造過程で油が使われており、「あっさり」のつもりが思わぬ高カロリーになりかねない。
女子栄養大学の浅尾貴子助教は「炭水化物である麺類単品だとエネルギーの摂取量だけが増え、ほかの栄養素が不足する。その結果、太ってしまう」と解説する。例えばビタミンB1。豚肉などに含まれ、糖質をエネルギーに変える働きがある。これが足りないと代謝が悪くなり、余った糖質が脂肪に変わるという。麺類だけを食べるとビタミンB1をはじめ、様々な栄養が不足してしまい、炭水化物や脂質、たんぱく質をうまく使い切ることができなくなる。
さらに炭水化物だけを急いでとると、血糖値を下げるインスリンが膵(すい)臓から過剰に分泌される。栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅院長は「血糖は下がるが、必要以上のインスリンは炭水化物を脂肪に変える」と話す。
「夏やせ」という言葉があるように、そもそもやせる人が増える季節のはず。これに対し、栗原院長は「夏は太りやすい」と指摘する。人の基礎代謝は季節で変わる。体質によるが夏は冬より10%程度少ない。外気温が高い夏は冬のように脂肪を燃焼させエネルギーを作る必要がないからだ。「基礎代謝量が1日で約100キロカロリーは低下する」(栗原院長)。カロリー過多の食事などで以前より夏太りが増えたようだ。
情報サイト運営のオールアバウトの「生活トレンド研究所」が約1千人に2012年夏の自分の体重について聞いたところ、同年春から体重が「増えていた」と答えたのは22.8%。「減っていた」の19.6%を上回った。