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エコノ探偵団

駅前の放置自転車、減った? 駐輪場30年で6倍に

2013/8/20 日本経済新聞 プラスワン

 「最近、駅前の放置自転車が減って歩きやすくなった気がするな」。神田のご隠居、古石鉄之介が探偵事務所にやってきた。「自転車は健康志向で人気があるけど、なぜかしら」と、探偵、深津明日香がスポーツバイクに乗って調査に出た。

■法整備進む

 明日香は内閣府が1年おきにまとめている駅周辺の放置自転車の実態調査を調べた。全国の放置台数は1981年の約99万台をピークに、2011年には約18万台と5分の1以下に減った。東京都の調査では都内の放置台数は12年が約3万5千台で、ピーク時から8割強も減っていた。

 東京都庁を訪れた明日香を青少年・治安対策本部の森山絹恵さん(51)が出迎えた。森山さんは都内で減った理由を「各市区町村が法律や条例で取り締まれるようになったと同時に、駐輪場が劇的に増えたからです」と説明した。

 放置自転車が社会問題になり始めたのは1970年代。便利さに加え、走行中にガソリンを使わず、手軽な運動手段にもなる乗り物として人気が出た。一方で普及に伴い交通安全や景観上の問題も浮上し、80年には駐輪場の整備などに関する法律が公布され、94年に改正された。

 「なぜ法律が必要なの?」。明日香は駅の駐輪場に自転車を預け、新幹線で大阪に向かった。行政学が専門の大阪市立大学准教授、砂原庸介さん(35)は「放置された個人の所有物を撤去するには『公共の利益』のためという根拠が必要なのです」と話す。

 自治体の役割は「まちづくり。つまり空間を管理すること」と砂原さん。安全で暮らしやすい街づくりの一環として、自転車の放置で迷惑を被る市民の代わりに撤去する責任がある。駐輪を禁止するだけではなく、許可する場所も定めなければならない。

 内閣府によると全国の駅周辺の自転車駐車可能台数は11年に約350万台(工事中など除く)。1977年に比べ約6倍に増えた。にぎわう地域ほど駐輪場の新設が進んだ。「民間の商業施設に駐輪場を置くよう義務付ける条例も増えました」と砂原さん。ただ駐輪場の管理運営費を利用料金だけでは賄えない自治体も多く、赤字を税金で補填する根拠の一つになっている。

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