夏に発疹・かゆみが増えた その症状、光線過敏症?

強い日光が降り注ぐ真夏は、光線過敏症に悩む人が増える季節だ。体質によっては、紫外線や可視光線を浴びた肌に斑点や発疹が生じ、かゆみや痛みが出る。光線過敏症はいくつかの病気の総称で、病気の種類により原因や対処法もまちまちだ。早めに皮膚科にかかり適切な対応を取らないと、慢性化したり症状が悪化したりする。様々な光線過敏症の症状や対処法を専門家に聞いた。
腕に多形日光疹が出た患者(近畿大学の川田教授提供)

光線過敏症は飲み薬や貼り薬が原因になる「外因性」と、体内の異常で起きる「内因性」に分けられる。誰もが発症するわけではなく、遺伝子との関連が考えられているが、詳しくは分かっていない。

外因性の病気のうち最多とされるのが薬剤性光線過敏症だ。薬を飲んだり注射をしたりした時に、顔や耳、腕や手の甲などにかゆみを伴う赤い斑点や発疹が出る。一部の抗菌薬や鎮痛薬、降圧剤が原因だ。薬の成分が皮膚に届き、波長が320~400ナノ(ナノは10億分の1)メートルの長波長紫外線が当たると、炎症が起きる。

■アトピーと似る

原因となる薬の服用をやめたり他の薬に切り替えたりすれば、2~3日後には治ることが多い。ただ「症状を1~2年間放置すると慢性化し、薬をやめても治りにくくなる」(関西医科大学の岡本祐之教授)ため注意が必要だ。アトピー性皮膚炎など他の病気と紛らわしいこともある。薬を処方する内科医が光線過敏症に詳しくない場合もあるため、光が当たった肌に症状が出たら皮膚科を受診するといい。

同じ外因性でも光接触皮膚炎は治るまでに時間がかかる。

例えば湿布薬の抗炎症成分のケトプロフェンが皮膚に残ると、長波長紫外線が当たったときに起きる。湿布をはがしても成分が約1カ月間残り、洗い流しても落ちないので、外出時には患部を衣服やサンスクリーン剤と呼ばれる防護剤で遮光する必要がある。湿布薬には「貼ったところを日光にあてないでください」などの注意書きがあり、よく読んで使うことが大切だ。

こうした外因性の病気とは異なり、体内の代謝の異常や遺伝が原因で起きるとされる内因性の病気は、直接の原因が分からないことが多い。患者数は少なめだが治療が難しく、遮光に気を使う対処策が重要だ。